ここまではこちら。間に合った!


FW
エリソン
良くも悪くもエリソン
良くも悪くもエリソン!というシーズンだった。一定能力以下のCB相手には簡単に手玉に取ってチャンスを作れるが、マッチアップで優位を取れないとそのまま試合で消し去られてしまう感は今年も健在。J1のルカクとしてCBに対して基準を示すような存在だった。
元来、ロングボールの収めどころとしてはそこまで頼りにすべき感じではないのだろうが、後方がつなげない関係からか川崎のGKは非常にカジュアルにロングボールを選択していた印象。良くも悪くもエリソン次第という状況から抜け出すことができなかった。
こう書くと悪い言い回しになってしまうけども、相手に優位を示せる試合では本当に頼りになる存在。開幕戦の柏戦では無双状態だったし、多少コントロールが乱れても打ちに行くというシュート意識の高さがあるからこそ、横浜FM戦の劇的なゴールが生まれたといえる。
守備はがんばってはいるが、終盤のガス欠や試合の中でのムラがどうしても出てきてしまうのは課題。どうしても気分屋なところがあり、ヒートアップするとラフなプレーをする癖も治らないままになってしまった。
PKに関してクオリティは折り紙付き。読まれていたとしても初期位置が中央から間に合わない速度で端のコースに蹴り込む。速度制限付きの的当てをやっているかのようで、この点では歴代の川崎のストライカーの中でも指折りの存在だといえる。
いろんな意味で見ていてドキドキハラハラする選手で、こういうストライカーは意外と好き。あなたがボコボコにしたラポルトはW杯でベストイレブン級の活躍をしています。千葉でもお元気で。
小林悠
土俵さえ用意することができれば
プレータイムは18分。出番があった2試合のうち、1試合は投入の段階で勝負がすでに決まっていた横浜FM戦。もう1試合は10人を相手に総攻撃をかけていく町田戦。負傷という事情はありつつも、徐々に出番が狭まっていることを感じるシーズンであった。
さすがに1トップでバリバリ!というのはイメージが湧きにくいところではあるが、それこそ町田戦のようなボックス内の巧みさで勝負する土俵に持っていきやすい環境であれば、十分にやれる要素はあるだろう。試合終盤の切り札として相手を怖がらせる存在に戻ることを来季は期待したい。
伊藤達哉
面白い部分が前に出てきているが・・・
昨季はさすがに確変モードだなとは思ったが、今季は嘘みたいに沈黙。初得点はプレーオフの広島戦まで待つ必要があり、レギュラーシーズンにおいては得点を決めることができなかった。
得点が止まった一番の要因は2025年のようにシュートコースを作ることができなかったことだろう。細かいタッチでマーカーの足が浮いたところを股抜きで通し、そのシュートがグラウンダーの軌道でゴールの隅に決まるというのが伊藤の得点パターンだった。
しかし、この半年はその一歩目であるマーカーの足を開かせるというところができなかった。シュートがマーカーに引っかかってしまうことも多かったし、マーカーの壁を越えたとしてもシュートが枠を捉えない場面が著しく増えた。
ドリブルで1枚を剥がすキレもかなり低下。この辺りはフィジカルの消耗を感じる部分でもある。
終盤戦にはだいぶフィジカルのレベルは上がってきた印象。一時期はカウンターに出ていくことすら体が重そうだったが、守備でもキレのある動きを見せるなど復調気配。広島戦のゴールは復調気配が先に来てからの一撃だった。
ピッチ外のコメントがこの半年で増えてきたのも印象的。どちらかといえば孤高の職人タイプだと思っていたのでとても意外だし、素敵な部分が前に出てきているなと思う。副キャプテンに就任というのもこのメンタリティなら期待ができそう。悔しい半年になったが、終盤の復調気配をそのまま新シーズンにぶつけたいところだ。
持山匡佑
自分の形を作りやすくできるか?
終盤に彗星のごとく現れたストライカー。大卒の割には相当寝かせたなという感覚が個人的にはあるが、起用されてから活躍までは相当スピーディー。
もちろん、ハイライトといえるのは途中交代でハットトリックをかました水戸戦ということになるだろう。相手のミスに乗じてのゴールで勢いに乗ると、そのまま得点を量産。1.5列目に降りながらボールを引き出しつつ、ドリブルで加速してパンチのあるシュートをコンパクトに放つ形が持ち味。試合後のインタビューで「得意な形」のようなことを言っていたので、水戸戦の2点目は自己紹介といえるゴールなのだろう。
積極的なシュートの選択と強引に打ち切る姿勢、そして決まったら止まらないという特性は山田を彷彿とさせる部分はある。ただ、あそこまでフィジカルゴリ押しという感じではないので、仕掛けられるスペースがあるかどうかは重要。そういう意味ではスペースメイクの相棒が必要かもしれない。
外国籍選手と比べるとロングボールの預けどころとしてはどうしても心もとないところがあるので、その部分をどのように組み替えるか。あるいはよりショートパスでの前進を増やすのか。ほかの選手と組ませるプランも含めて、どのように活かしていくかに注目が集まる存在だといえるだろう。
マルシーニョ
回帰する理由
なんだかんだマルシーニョに回帰するというのがいかにもここ数年の川崎という感じ。伊藤が左サイドにコンバートされて、紺野とのちびっこSHコンビも序盤戦はテストされたが、伊藤と三浦の連携と紺野の負傷によって頓挫。その後は宮城よりも上の序列でレギュラーとしてシーズンの大半を過ごした。
なんだかんだ彼に回帰する理由はシンプルで、ほかの人がやってくれないことを最低限やってくれるからだろう。川崎が悪いスパイラルにハマるときは足元にボールを要求し続けてボールだけ動いて相手を動かせないというパターンがある。
マルシーニョは裏抜けをサボらないから、彼を起用しておけば最低限ここからは相手を動かすことができる。幅も取るので、インサイドでの中央密集のような形もそこまで形成されない。
守備に関しても多少ムラはあるものの、低い位置に下がってのプレスバックは川崎のSHの中ではやる方だろう。そこから高い位置に出ていく脚力があり、負傷も少ないので、チームの状況が苦しければまずは彼となるのはわかる。
ただ、相手をちぎることができるスピードとそこから先のプレー精度はこの半年はかなり低調気味だったので、できれば彼を追い落とすようなレベルの左SHは出てきてほしいなという部分はある。マルシーニョ自身にももちろん、自分が当たり前にできることに上乗せできる何かをきっちりと示していきたい。
スタンドに飛び込んだゴールシーンでの喜びの爆発させ方を見ると、相当苦しいところはあったのだろう。来季はフラストレーションを溜めることなく、コンスタントに喜べるようなシーズンになることを祈っている。
宮城天
コントロールで選択肢を狭める悪癖を改善したい
殻を突き破れないシーズンが続いている。左サイドは補強を見送る格好となり、かつ三浦との連携が終わっていた伊藤の左サイドへのコンバートが早々に棚上げになったことで、マルシーニョとの一騎打ちとなったポジション争いで優位となる要素を作ることができなかった。
従来に比べるとプレータイムは稼げたようにも思うが、それは他に選択肢がおらず、マルシーニョも低調だったポジション事情によるところが多い。印象的だったのは脇坂の欠場に伴いトップ下に入った町田戦だろうか。
脇坂のようにビルドアップを助けながらも、ロングボールのターゲットとして前に張るというセカンドストライカー的な役割も担っていた。ただ、総じて脇坂に取って代わるようなクオリティを示すことができたかと言われると難しいところでもある。
総じて、そういう側面が目立っていたのが今季の宮城。悪くない流れでボールを受けたと思ったら、タッチが流れて選択肢を自ら狭めてしまったりなど、好機をものにできない傾向が強い。流れが悪くなると、今度は足元でもらいたがるので、さらにチームとして閉塞感が出てくるという悪循環に陥ってしまう。
スコアリングに関してはマルシーニョよりも優れたものがありそうではあるのだけども、左サイドからだとそういう場面に絡めない要素があるのか得点はなし。同じ土俵で勝負するよりはセカンドストライカー的にスコアリングを淡々と重ねるほうが序列争いの逆転の目はあると個人的には踏んでいる。何年も積み重ねている停滞感をそろそろ脱したいところだが。
神田奏真
実りの多い一年でレンタルバックに期待
いやぁ、これしか出番なかったか。率直に期待していただけに残念さが残るシーズンだった。負傷者が続出する春先まではベンチ入りも少なかったため、序列が低かったのだろう。もっとも、出ている時間の中では期待を持てる内容でもあった。
唯一の先発出場となったFC東京戦では降りるアクションからライン間に顔を出しつつ前進に寄与。脇坂っぽい役割をそれなりにこなしていた。逆にいうと、一番前よりはFW型と組ませたほうが向いているのかな?というのもこの試合で感じたところもあり、脇坂がトップ下に君臨しているチームの中では1stチョイスとしては少し選びにくいのかなとも思った。
そのFC東京戦に代表されるように守備でも我慢が利くのも個人的な評価としては高いところがある。短い時間の中でもやや強引ながらシュートへの意識が高いのも印象がいい。
東京Vでの武者修行では一番前で体を張ることを覚えてほしいなとも思いつつ、実際のところは染野と組みながら前を向いた状況でのプレーを研ぎ澄ますところが成長のイメージを持ちやすいだろうか。いずれにしてもなかなかうまくいっていないレンタルバックから川崎の主力になってほしい気持ちが強い選手なので、実りの多い一年にしてほしい。
ラザル・ロマニッチ
真ん中部分を請け負う誰かがいれば・・・
スタメン出場は8試合ではあるが、エリソンと出番を分けながらプレータイムを重ねることができた半年だった。どんな相手でもボールをある程度収めることができるフィジカルやポスト、ムラのない守備への貢献など、安定して試合を進めるという意味ではどちらかというと彼なのだろう。長谷部監督のパブリックイメージにある、堅い試合展開ならば1stチョイスはロマニッチになる。
ただ、今の川崎は後方から機能的な前進ができる場面が少なく、前線がスピーディーに決めてくれないと!という展開が多い。そうした展開においては強引にシュートを打ち切ることができるエリソンの方が重宝される。
1人でシュートを打ち切る!とまでは言わないまでも、前を向いたときにできることの乏しさはこの半年でも見受けられた部分。外国籍選手であればもう少し高い天井を求めたくなってしまうところは正直ある。
守備に関しても穴を空けない意識はいいのだけども、劣勢の展開の中で守備からスイッチを入れたいときに深追いをするタイプではないのが苦しいところ。ヒートアップすると2025年の京都戦のように退場するかもという思いもあるのかもしれないが、攻撃で爆発力に欠ける分、守備で流れを変える動きは欲しい。
ボックス内で勝負できれば面白いとは思うので、起点と終点をつなぐ部分を誰かに請け負ってもらえればもう少し機能性は高くなりそうな雰囲気はある。相棒を見つけることでさらに序列を上げる26-27シーズンとしたい。