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「吉と出た揺らぎ」~2026.10.18 プレミアリーグ 第7節 ノッティンガム・フォレスト×アーセナル レビュー

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レビュー

横断もできないくらいぎゅうぎゅう

 2年連続でスコアレスドローという膠着に持ち込まれているザ・シティ・グラウンド。3年ぶりにフォレストをこじ開けてこのスタジアムから勝ち点を持ち帰りたいところだろう。

 フォレストのフォーメーションは3-4-2-1。特徴的だったのは前線の負傷者。ギブス=ホワイト、ジェズスといった主力が不在のため、ドミンゲスを前線にスライドさせる形でのスターターに。最終ラインはアイナとムニョスを右に並べる形もテストしていたが、この試合ではアイナのところにジャイール・クーニャ。きっちりとCB色の強い選手を入れて固めるところを固めるという布陣を並べていく。

 アーセナルの保持はいつもと比べると保持時の変形は抑えめだったように思える。中央に降りてくるウーデゴール、あとはSBの正位置とIHの位置を行ったり来たりするカラフィオーリが違いになってくるくらいだろうか。

 フォレストのスタンスはミドルブロックを維持することにある程度労力を割く姿勢。アーセナルのバックラインにはボールを持たせてオールOKというわけではなく、ラインを上げる隙間があれば、その機会を生かしていくという姿勢があった。

 そのうえでローブロックに移行することがあれば、その際はリトリート。エンドイェとドミンゲスの2人のシャドーは自陣まで下がり、WGへのダブルチームのヘルプに出ていくなど重たい守備のタスクを担っていた。

 フォレストの前線はまずは中盤中央に簡単にフリーとなる選手を作らせてくれなかったので、サイドからの進撃に。カラフィオーリがいつもよりも通常SB寄りの立ち位置だったのはシャドーのポジションがナローだったからかもしれない。

 もっとも、フォレストが敵陣でもSBに簡単にボールを持たせてくれるか?というとそういうわけでもなく、WBの縦へのスライドがスムーズになることで前進のきっかけにはさせないスタンスだった。

 それでも中央よりはサイドの方が前進の難易度的にはまだマシ。サイド、特に右サイドにフォーカスしながらアーセナルは攻め筋を探っていく。ミッドウィークには得点までの解決策を見つけた右サイドに人を集めるアーセナル。ウーデゴールはもちろんのこと、ライスやギマランイスの両名も右サイドのフォローにフォーカスする。

 フォレストのスタンスもアーセナルに連動。そちらが集めるのであればこちらも!というように両CHをスライドさせてサイドに集結。文字通りぎゅうぎゅうの状態でこじ開けるには苦労。攻略には時間がかかることが一目でわかる陣形。リール戦ではペナ角付近やや手前くらいからハーフスペース奥か大外にパスを出す起点を作っていたが、フォレストはその起点すら潰しに来ていた印象だ。

 これくらいタイトだと中盤を経由した横断も難しく、ぎゅうぎゅうのサイドからきっかけ探しをしつつセットプレーをもぎ取るくらいしかやることがない状況。そのセットプレーが不発の状況が今節も継続。こじ開けられれば楽になるが、そう簡単にはいかせてくれないフォレストだった。

枠内シュートのない納得感

 フォレストの攻め筋はシンプル。デラップへのロングボールから一気に背後を取っていく形を作っていく。

 デラップはセンターラインから特に動くことはなかったのが前半のポイント。このデラップを追い越すようにエンドイェが抜けていくアクションを見せており、ラインブレイクで独走をするのが理想形だろう。とにかく少ない手数でクリティカルなダメージを負わせる意識が見られた。

 アーセナルのパスを高い位置でカットできた際にもこうした背後に抜けるチャンスは十分。左の大外で孤立するエゼと左の中盤で囲まれがちだったカラフィオーリのところからカウンターに出ていくシーンはちらほら。

 アーセナルはガブリエウとコンサを中心に非常に落ち着いた対応で、このカウンターを無効化していく流れに。デラップへのロングボールはコンサが競り合って、ガブリエウは前に回り込みながらセカンド回収に回るという連携も見せたりしていた。

 アーセナルの攻めにおける左サイドの孤立はなかなかに深刻。右サイドにフォーカスしていたあおりを受けていたように思える。

 エゼは大外からだと単独で仕掛けられないし、インナーレーンを走るカラフィオーリともつながれず。流れてくる選手は0ではないがブロックの外に降りてくるケースが多く、奥行きを取りながらエゼとカラフィオーリをフォローしてくれる選手がいないのが辛いところであった。

 ともに枠内シュートが増えてこないことにも納得感しかない展開だろう。ともにトランジッションで甘さを見せない守備組織が機能しているせいで、攻撃側はかなり骨の折れる展開に引きずり込まれている感。得点はおろか枠内シュートすら難しい状況の中で、膠着を打開する飛び道具も炸裂しない前半だった。試合はスコアレス。動かないままハーフタイムを迎える。

動きが出た左からヒーローが生まれる

 後半、アーセナルはエゼに代えてマドゥエケを投入。孤立しても仕掛けられるドリブラーを左サイドに放り込んだことでリズムを変えに行く。それだけでなく、ライスやウーデゴールも左サイドのフォローに出ていくなど、全体的に極端な右偏重という攻撃のルートもやや改善傾向。大外からの仕掛けだけでなく、ハーフスペースへのフリーランなども生かせるように。

 マドゥエケ自身は縦突破からのクロスを基本にしつつ、インサイドに入り込んでのカットインも。このインサイドへのカットインは良し悪しという感じ。ドリブルのタッチ自体はいいのだが、内側に入り込んでいくという点で引っかけてしまうとリスキーでもある。実際にここからカウンターを食らうような展開は後半頭に見られた。それでもエゼがフリーズしていた前半よりは仕掛けの手段がある分、明らかに動きが左サイドで見られるようになってきた感があった。

 フォレストのカウンターもマイナー変化。サイドの裏にデラップが流れるようになったことで起点を作る位置に前半と違いが出てくるように。センターラインでのポストでは裏のエンドイェに一発というだけでなく、CHに落とすことでポゼッションに移行するシーンもあった。

 直線的に抜け出すところにフォーカスしていた前半に比べると、陣地回復やポゼッションでの落ち着きにつながっていくような変化が見られたような感覚。ミドルゾーンで組み合うところを本格化させていくイメージ。引いて受けてジリ貧になって最後にこじ開けられるというシナリオを回避するために自分たちの時間を作ることに取り組んだのが後半のフォレストだった。

 基本的には後半はフォレストの思い通りに試合が進んでいたように思う。アーセナルは腰を据えてブロック攻略に臨むというよりも、ボールを奪い返して前進させてその間に発生するセカンドボール争いを制し、そこからようやく敵陣に向かうというステップを踏んでいく必要があった。

 自陣に押し下げられる分、アーセナルが新たに狙いそうなバッファとしてはラヤのクロスカットを起点とするカウンターだろう。キャッチからの素早いスローイングであれば、フォレストの守備の陣容は整っていない。

 ここから早い段階で攻撃を完結させられなかったアーセナル。しかし、フォレストは外に外に追いやるような守備の誘導でアーセナルの攻撃を沈静化。セットプレーに逃がして跳ね返す。クロスカットからのカウンターでもセットプレーでもアーセナルは前に出ることはできなかった。

 60分過ぎにはアーセナルは3枚交代。交代選手の中でも特に存在感が大きかったのは右のSBに入るティンバーだろう。後半は特に支援がないままのダブルチームに苦しんだサカの相棒として躍動。大外から走るレーンを工夫した裏抜けで早速ライスの決定機を演出。サイドから揺さぶるフェーズに確かな手応えを持ってくる。

 フォレストは選手交代で5-3-2にフォーメーションを変更。サイドのフォロー役を変えつつ、2トップを狙った直線的な攻撃でひっくり返すチャレンジをしていく。

 しかし、誤算だったのはこの2トップを狙ったロングボールが精度不足だったこと。このせいでアーセナルに押し込まれる時間を作らせてしまうことに。

 ようやく腰を据えてブロック攻略に挑むことができたアーセナル。ウーデゴール→メリーノの裏へのパスからフォレストのラインを下げると、セカンドボールの回収からインサイドに切り込んだマドゥエケがゴール。ここまでフォレストが粘ってきたセカンド回収を制圧し、一気に試合をこじ開ける。

 リードを奪われたフォレストの前に立ちはだかったのはギョケレシュ。アバウトなボールでだるいくらい粘りながら陣地回復をするCFの存在により、今度はフォレストがリズムをつかみきれない時間が続く。この試合で初めてアーセナルが嫌がらせを仕掛ける側に回った感のある時間帯。ギョケレシュは存分に元同僚のディオマンデとのマッチアップを楽しんでいた。

 フォレストは最後の最後で4バックにシフト。左サイドからは数回クリティカルなチャンスを作ったが、ライスとコンサがそれぞれ体を張って止めることに成功。最後の最後でアーセナルのDFを数枚切り裂いたムリージョもシュートが枠を捉えなかった。

 苦労しながらもこじ開けることに成功したアーセナル。2年連続スコアレスの停滞から逃れ、シティ・グラウンドから勝ち点3を持ち帰ることとなった。

あとがき

 後半頭に動きをもたらしたマドゥエケ。まだまだ一つのプレーがどこに着地するのかが見えにくいパフォーマンスなのだが、この試合の停滞を動かすという意味では最終的には吉と出た格好である。

 正直セットプレーからこじ開けられれば楽なのだが、そこのフィーリングが合ってこない以上はこうして日替わりヒーローの登場から勝負していくしかない。先週はギマランイス、今週はマドゥエケ。来週は誰が頼もしくチームを牽引してくれるだろうか。

試合結果

2026.10.18
プレミアリーグ
第7節
ノッティンガム・フォレスト 0-1 アーセナル
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
ARS:80′ マドゥエケ
主審:マイケル・オリバー

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