Fixture
プレミアリーグ 第26節
2025.2.22
アーセナル(2位/15勝8分2敗/勝ち点53/得点51 失点22)
×
ウェストハム(16位/7勝6分12敗/勝ち点27/得点29 失点47)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
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過去の対戦でアーセナルの6勝、ウェストハムの2勝、引き分けが2つ。
アーセナルホームでの戦績
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直近10戦でアーセナルの8勝、ウェストハムの2勝。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは直近2試合のウェストハム戦で連勝し、11得点を挙げている。
- しかし、ウェストハムは直近のエミレーツ遠征である2023年12月で勝利している。
- ウェストハムはプレミアのアーセナル戦で37敗を喫しており、他のどのクラブに対してよりも多い。
- 11月の対戦ではアーセナルが5-2で勝利。全てのゴールを前半に挙げた。
スカッド情報
- 膝の手術を行った冨安健洋はシーズン絶望。
- レスター戦で2ゴールを挙げたミケル・メリーノには先発の可能性。しかし、ブカヨ・サカ、ガブリエル・マルティネッリ、ガブリエル・ジェズス、カイ・ハヴァーツは負傷欠場。
- ルーカス・パケタはトレーニング中の足首の負傷で数週間の離脱。
- ハムストリングを負傷しているヴラジミール・コーファルにとってこの試合はややフィットが間に合わない。
- クリセンシオ・サマーフィル、ニクラス・フュルクルク、マイケル・アントニオは全員欠場。
Match facts from BBC sport
- プレミアでは15試合無敗であり2011年以来最も長いラン。
- ホームでも15試合リーグ戦無敗。ホームで負けていない唯一のチーム。
- クロスから13得点を挙げておりリーグハイ。
- 途中交代から9得点を挙げており、直近3試合では4得点を記録している。
- 前半での9失点はリーグ最少。
- 直近7試合のプレミアで5敗(W1,D1)。直近4試合での勝ち点は1のみ。
- 開始10分での失点が10でリーグワースト。
- 直近6試合でこの試合が5つ目のロンドンダービー。これ以前の4試合では3敗。
- グラハム・ポッターの指揮下ではクリーンシートはなし。就任以降、公式戦で10失点を喫している。
- しかし、ポッターは直近4試合のエミレーツでのアーセナル戦で3勝。これよりエミレーツで多く勝利している監督はペップ・グアルディオラとユルゲン・クロップだけ。
予習
第23節 アストンビラ戦
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第24節 チェルシー戦
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第25節 ブレントフォード戦
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今季ここまでの道のり
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予想スタメン
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展望
色気継続路線における苦悩
メリーノの大立ち回りで劇的な勝利を果たしたアーセナル。1週間空いた今節だが、特に前線に復帰メンバーはなし。先週と同じメンバーでまたしても苦しいリーグ戦に臨むことになる。
ウェストハムはシーズン途中に監督交代を敢行。雑なくくり方をするのであれば、ボールを持ちたい色気と質実剛健さを行ったり来たりという監督人事が続いている印象だが、ロペテギを解任してからポッターへのシフトというのはどちらかといえば「色気継続路線」と銘打つことが出来るだろう。
ただし、やはり保持型の指揮官としてはプレシーズンでの仕込みがない分、苦しい部分はどうしても出てきてしまうだろう。保持で自らのカラーをどのように出すか、そしていかに守備とのバランスをとるかにかなりポッターは頭を悩ませているように思える。
初陣となったフラム戦では4バックを採用していた。勝利こそ手にしたがこの試合では守備の内容がなかなか。CBの間に入ってくるマークマンをあっさりと放置し、大外から放り込まれるクロスを一番危ないところに放り込まれて失点という形を繰り返してしまった。
それ以降の節は3試合連続で3バックを採用。後方に重みのある陣容でボールを動かすトライをする。ただし、この3試合で対戦したクリスタル・パレス、チェルシー、アストンビラはいずれも3バックかもしくは保持時にバックラインの枚数調整をかけて3枚にすることが多いクラブなので、そこに噛み合わせる意図はあったかもしれない。
そして、直近のブレントフォード戦では4バックに戻している。ポッター就任以降のシステム論としてはこんな形である。
保持の形はショートパスを使いながら相手を動かしたいという意思は見える格好。しかしながら、相手を動かしながらつないでいくという意識は現状では希薄。パケタが動き回りながら相手の隙間を動くトライをしているが、なかなかそこに味方が呼応しない状況となっている。
ということで結局は現状ではアタッカーが個人で状況を切り拓くというオールドファッションモデルのウェストハムでのアタッキングサードの打開が一番有力な形となっている。市場を挟まない限りはおそらくこの点での改善は難しいはずだろう。恩師の元に舞い戻った形になったファーガソンを軸とした連携を構築できればこの状況を一変させる可能性もなくはないが、そこを差し引いても後方のコンダクター不足はポッターの理想を実現する上での障壁といえるだろう。
メリーノ・システムの現在地を確かめる
冒頭にも述べたが、前節は終盤に何とかしたが依然として目先の試合を1つずつ全力で勝たなければいけないという苦しみの中にアーセナルはいるといっていいだろう。メリーノのCFというオプションは確かに増えた。おそらくはこれが今節のスターターとなるのではないかという予想は立つ。
まずはメリーノのCFでできることを確認することが必要だ。オープンな状況でシュートまで運ぶことが出来れば十分にストライカーとしての才覚は見せることが出来るというのがレスター戦でのメリーノで分かったことだ。
相手のマークを外す動きで得点をしたというのももちろんストライカー要素の上乗せではあるが、駆け引きという観点ではこれは相手ありきの話。レスターのCBはマークを外すという観点の中では申し訳ないがリーグでも非常に簡単なレベルである。ウェストハムが仮に3バックで来るのだとしたら(個人的にはそちらの方が可能性が高いと考える)、ボックス内はよりスペースレスになり、メリーノが同様の形で貢献できるかは不明だ。
より未知数なのはロングボールのターゲットとしての機能性だろう。メリーノは機動力に長けているわけではないので、おそらくスペースに走るようなジェズスやハヴァーツのようなロングボールの引き出し方を期待するのは難しい。
あとはその場にとどまる形でボールをどのように収めることが出来るか。シュートの局面ではファン・ペルシ―の名前が挙がっていたメリーノだが、行動範囲は狭いが、少ないタッチで味方に正確に落としを行うというチャンスメイクのフェーズにおいてはジルーのような生かし方の方がより適切なのかなと思う。
ボールを収めてできれば時間を作ることが出来れば完璧。ショートパスでつなぐ前提においてもロングボールの逃げ場のない苦しみは前節に十分に理解したので、ここである程度の成果が見込めればアーセナルの攻め筋は一気に開けることになる。ライスの全力疾走の頻度を減らすためにも何とか前に時間を作る武器は欲しい。
もう1つの懸念はハイプレスだろう。ジルーにハイプレスを走り回るイメージがないように、メリーノにもハヴァーツやジェズスと同じプレスの旗頭の役割を求めるのは難しい。特にバックラインに対する深追いの頻度と威力には制限がかかることになる。
ウェストハムに関してはもちろんバックスにプレスをかける価値があるチームという理解ではあるが、連戦が続く中で90分この動きをやるのは難しいはず。よりミドルブロックでの我慢は多くなるかもしれない。
このようにメリーノのCFでできることを仕分けするのがこの試合のアーセナルの裏テーマになるだろう。もちろん先発で起用されればの話ではあるが。
試合がよりつまっているリバプールは勝ち点を落とし始めている。背中を大きくするためにも楽な日程では差を詰めたいところ。この試合も一戦必勝となるのは必至だ。