Fixture
プレミアリーグ 第28節
2025.3.9
マンチェスター・ユナイテッド(14位/9勝6分12敗/勝ち点33/得点33 失点39)
×
アーセナル(2位/15勝9分3敗/勝ち点54/得点51 失点23)
@オールド・トラフォード
戦績
過去の対戦成績

過去5シーズンの対戦でマンチェスター・ユナイテッドの2勝、アーセナルの7勝、引き分けが3つ(うち1つはユナイテッドがPKで勝ち抜け)。
マンチェスター・ユナイテッドホームでの成績

過去10回の対戦でマンチェスター・ユナイテッドの4勝、アーセナルの2勝、引き分けが4つ。
Head-to-head from BBC sport
- ユナイテッドは直近4試合のプレミアのアーセナル戦で敗戦。リーグの歴史において最も長いラン。
- しかし、直近の対戦であるFA杯での対戦はPK戦でユナイテッドが勝ち上がっている。
- アーセナルは勝てばユナイテッドのアウェイ戦で1979年以来の連勝となる。
- アーセナルは直近10試合のオールド・トラフォードでのプレミアで全て得点を決めており、13回ネットを揺らしている。
スカッド情報
- パトリック・ドルグは3試合出場停止の2試合目。
- ハリー・マグワイアとマヌエル・ウガルテは出場微妙。
- チド・オビは起用不可能だったELからメンバーに復帰予定。
- マイルズ・ルイス=スケリーは1試合出場停止明けのゲーム。
- ブカヨ・サカ、ガブリエル・マルティネッリ、ガブリエル・ジェズス、カイ・ハヴァーツ、冨安健洋は長期離脱中。
Match facts from BBC sport
- 今季リーグ戦の連勝がない。32-33節で連勝した68-69シーズン以来の長い連勝がないラン。
- 直近6試合のホームのリーグ戦のうち、4試合で負けており、うち3試合は無得点。
- オールド・トラフォードでの失点は24でアウェイの15よりも多い。
- アモリム就任以降、12試合で先制点を許しており、この期間にこれより多く先制されているのはレスターだけ。
- ラスムス・ホイルンドは直近19試合の公式戦の出場でゴールがない。
- アウェイでのリーグ戦は9試合負けなしで、直近3試合は無失点(W5,D4)
- しかし、直近2試合のプレミアでは無得点。枠内シュートは2試合合わせて3本のみ。
- 23失点はリーグ最少。
- 27試合の時点で9つの引き分けは19-20以来最多。
- ミケル・アルテタは就任以降、10試合のユナイテッド戦で7勝(D1,L2)
- この試合はアルテタのプレミアリーグ200試合目の指揮。初めの199試合で118勝を挙げており、ジョゼップ・グアルディオラ、ユルゲン・クロップ、ジョゼ・モウリーニョ、サー・アレックス・ファーガソンに次いで5番目に多い勝利数。
予習
第25節 トッテナム戦

第26節 エバートン戦

第27節 イプスウィッチ戦

FAカップ 5回戦 フラム戦

EL Round16 1st leg レアル・ソシエダ戦

今季ここまでの道のり

予想スタメン

展望
表と裏のミッション
CLでは7-1での快勝。敵地での1stレグの90分で180分の決着をつけたと言っていいスコアを記録したアーセナルは試合終盤から週末を見据えた強度で試合に臨むことができる。一方のユナイテッドは木曜にサン・セバスティアンでのELでの一戦に臨む。週末はホームでの試合とはいえ、2日のディスアドバンテージを背負うのは苦しいところがある。
アモリム就任以降もユナイテッドの調子は上がっていない。おそらくはスポルティングと同じ仕組みを落とし込もうという意欲を見せてはいるのだけども、なかなか実装するところまでは至っていない。
難しいのはアモリムに全ての責任があるのかの判別がつかない点である。来季以降、この監督に託していいのかどうかという判断をどのように下すかには興味がある。
成績が悪いのは間違いない。もし来週の木曜日にELで敗退となってしまうと、残すコンペティションはリーグのみ。トップハーフを目指しての残り3ヶ月弱となる。名門としてはあまりに寂しいシーズンだ。
が、情状酌量の余地があるのも確か。立て続けに重要人物が離脱していく様子はなかなか苦しいところがある。ディアロ、リサンドロ・マルティネスという長期離脱組もさることながら、それ以外の主力も細かい離脱が多く、試合ごとにスカッドは猫の目のように変わっている。
特に前線は火の車。アントニー、ラッシュフォードの放出にブルーノのCH起用が重なったことでガルナチョ、ザークツィー、ホイルンドの3トップはほぼ出ずっぱりである。チド・オビはユナイテッドに移籍しようが、アーセナルに残留していようが出番をもらえる運命だったかもしれない。そして、返す返すブルーノの鉄人ぶりは異常である。
バックラインは逆にメンバーの離脱に伴い左右の入れ替えが頻発。より良い組み合わせを模索しているのだろうが、日によって人の配置が変わるので連携の構築もへったくれもない。リサンドロ・マルティネスがいなければ個人で運べる選手もいないし、後方で引きつけるというアモリムのメカニズムとなる前提がなかなか成立しない。個人的にはもう少し出ている選手の左右は固定してあげてもいい気がしている。
もっとも、仮に引き付けられたとしても中盤から一気に加速するというフェーズを実現するための飛び出し役の選択肢もどんどん少なくなっている。急先鋒だったディアロは長期離脱、ドルグは出場停止の真っ最中でこの1点はガルナチョの肩にかかっている感がある。
結局のところ、前進は前3枚がきっちり収めることにかかっている感がある。ホイルンドの背負ってのポスト、ザークツィーのギャップに降りてくるアクションなど前の選手が時間を作る動きでなんとか前進への原動力を生み出している。
しかしながら、前線はなかなか交代カードもなく、コンディショニングもシビア。中2日という直近の日程もそうだが、FA杯に勝ち残ったことにより先週末の休みもなし。アーセナルとはこの点でも差がある。
守備においてもこの前線の交代策の少なさは足枷になっている感がある。CHのカバー範囲に物を言わせて勝負をかけるスポルティングの守備の仕組みはどうやらこの陣容では無理そうなので、前から積極的なプレスを仕掛ける方針に切り替えたように思う。だが、そこで立ちはだかるのが前の選手の交代の選択肢の少なさ。
前から捕まえに行っても機動力不足で連鎖的に釣り出される部分も少なく、結果的には中盤から背後の無理の効かなさが露呈する場面も目につく。守備でもなかなかこれといったスタイルはまだ確立できていないということになる。
表のテーマはもちろんELの優勝→CL出場権の獲得だろう。裏のテーマはアモリムが次の夏の市場を託してもらえる権利を残りのシーズンで勝ち取ることができるか?今の欧州サッカーは1つのシーズンでスカッドの半数を超一線級でまるっと入れ替えるほどの資金は投入できない仕組みになっている。そういう意味では今のビッグクラブの監督の仕事は次の市場の移籍資金をこの監督に投じてもいいと思わせることと言い換えることもできる。このミッションをアモリムが達成できるかも見どころの1つになりそうだ。
7得点の快勝というのはやはり気分はいい。週に2回の歯を食いしばるような内容の試合が続く中で、久しぶりの気楽に見れる展開となったし、来週のCLもおそらく同じ心持ちで見られるくらいのアドバンテージはある。ひとまず、代表ウィークまでは戦力をPLに固めることで問題なく運用はできそう。ユナイテッド、チェルシーとの重要な試合が控える中でこのアドバンテージは小さくはない。
内容面をどう捉えるかは難しいところ。もちろん、今のアーセナルは(ユナイテッドと同じく)特に前線のカラーで変化をつけられないので、一本道で戦うしかない状況においてその道で7点を取ったということは大きな成果だ。少し停滞気味だったウーデゴールが気持ちよくプレーができたという側面はもちろんポジティブに捉えるべきだろう。
ただ、ユナイテッドとチェルシーが降りてポストするメリーノにPSVほど自由に与えてくれると考えるのは楽観的すぎるような気もする。それでもやることは変わらない。前線は降りてギャップを作る。中盤とSBはそれに合わせて前線の飛び出す。セットプレーはガブリエウめがけて!という形である。
ユナイテッドはニアの破られ方が悪いと逆サイドのクロス対応が杜撰になりがち。まずは同サイドを縦に鋭く貫き、CBの3人の意識を自陣側に引っ張る。そして、ファーサイドを狙うという形が狙えれば大きい。メリーノは初めからファーサイドで構えていてもワンチャンフリーでヘディングができる可能性はありそうだ。
守備においてはどこまで前から追うかが今節もキーポイントになるだろう。バックラインを押し上げられるかどうかはホイルンドのポストをどこまで制限できるかによる。PSV戦では7得点に隠れがちではあるが、プレッシングの精度はそこまで高くなかった。やはりこのセットだと少し厳しいところはあるのだろう。
それだけに中盤に降りるザークツィーの処遇ははっきりしておきたい。大きな展開を自在に出せる彼を放置すると、ユナイテッドの攻撃は一気に加速する可能性がある。ここは咎めておきたいところだ。
PLは2試合連続未勝利、無得点。リーグ戦を軽視するような終盤戦にしないためにもここで歯止めをかけるのはマスト。アーセナルにとっては難所ではあるが、なんとか3ポイントを持ち帰りたいところだ。