第1弾はこちら。

【6位】ボーンマス
13勝18分7敗/勝ち点57/得点58 失点54

現場とフロントの連携が光り初の欧州へ
セネシ、ザバルニー、ケルケズといった面々を夏に抜かれてDF陣は完全に再編成。冬にはセメンヨがシティに旅立ち、今後は前線のユニットを再構成する必要が出てくるという非常にハンドリングが難しいシーズンだった。
台頭したシーズンの次の年の中堅チームの典型のような1年間を過ごしたボーンマスであったが、他のチームと彼らが違ったのはこうした状況に陥りながらもブレることなく結果を出したことである。困難に立ち向かいながら、ボーンマスはクラブ史上初めての欧州カップ戦出場権を手にするシーズンとなった。
1年間を通してみるとかなり浮き沈みが激しいシーズンだったのは明らか。第9節終了の時点では2位につけていたが、第14節では14位。終盤は年明け1試合目のアーセナル戦以降リーグ戦での負けはなく、無敗のままシーズンを駆け抜けることに成功した。
勝ち切れなかった時期の要因は前へのアグレッシブな姿勢という看板が先行しており、試合運びに雑さが目立ってしまったことだろう。悪く言えば大味な展開を呼び込みながら、守備陣がテンポについていくことができず、終盤に喫した失点で勝ちを逃すという展開が続いてしまっていた。
連続未勝利が無敗記録に姿を変えた時期で流れが一気に変わった!と言いたいところだが、個人的にはそういう感覚も実は薄い。年始からのドロー記録は始まった当初は勝利よりもドローの方が多く、勝ち切れないままフラストレーションを溜めるような内容も多かったからだ。
転機になったのは首位のアーセナルの撃破だろう。CLで疲労困憊のアーセナルを縦へのシャープさで明確に上回り、飲み込むことに成功。「元気がない時に一番当たりたくないチーム」の姿を取り戻し、ここから終盤戦は高止まりのパフォーマンスでシーズンを終了。シティを止めてアーセナルの優勝を決めるという返礼も義理堅く行い、欧州疲れが目立つチームにとっては脅威となった。
やや不安定な時期もあったが、終わってみればイラオラの手腕が光ったシーズンだった。バックスは新戦力の台頭が目立ったSBもさることながら、セネシがスケールアップし、コンバートしたヒルがどハマりするCBはさすが。セメンヨが去った2列目にはラヤンが早々にフィットするなど、とにかく穴が空いた箇所の補強が早い。フロントと監督の両方の高い能力が証明されている。
今夏のマーケットもハードだ。セネシが去り、前線の選手にも退団の噂がないことはない。もちろん、イラオラがいなくなるのも痛いのは間違いない。来季はELの舞台という負荷ものっかる。そんな難しい状況でもこのフロントの目利きならばあるいは・・・と思わせてくれる1年だった。
Pick up player:ジェームズ・ヒル
今シーズンのプレミアのびっくりコンバート大賞。冷静なカバーリングで前がかりなボーンマスのスタイルを後方から支え続けた。
今季の道のり

【7位】サンダーランド
14勝12分12敗/勝ち点54/得点42 失点48

博打に出た補強がハマり「普通」のプレミア勢に
近年、昇格組には優しくないプレミアリーグ。お決まりの17チームが決まりつつある時代を終わらせるのに成功したのが久しぶりのプレミア復帰となったサンダーランドである。
近年のプレミアで躍進する中堅勢はブライトンやブレントフォード、リーズのような尖ったスタイルで築き上げてくるチームが多かった。その点サンダーランドが異質なのは際立った特徴がなく、あらゆる局面でバランスが取れた存在であること。いい意味で「プレミアで普通にやれていた」のがこのチームの最大の特徴だ。
際立ったのはネームバリュー豊かな選手を大胆に補強したことだろう。獲得する選手のトレンドとして興味深いのは国外からの補強がメインだったこと。ブライトンからやってきたアディングラとプレミア経験のあるジャカとトラオレを除けば、プレミアに馴染みのない(1人1人のプロフィールを詳細には掘っていない)選手がズラリと並ぶ。いわば、傭兵集団と言えるのが今季のサンダーランドだった。
端的に言ってしまえば、この大胆不敵な戦略が大当たりしたのがサンダーランドの躍進の要因だろう。少しでもズレれば壊滅的になりそうな人選だったが、ル・フェ、ディアラ、サディク、レフス、ムキエレ、アルデレーテ、タルビ、ブロビーは明らかに主力として貢献してみせた。ブロビー、アルデレーテといったフィジカルに物を言わせるタイプはプレミアの壁にいかにもぶち当たりそうだが、全く問題にしなかったことは大きかった。
そして、何と言ってもジャカだろう。経験豊富なベテランとしてチームを牽引。大きく散らすパスと鋭い縦へのパスを駆使し、アーセナルの最終年度よりも少し後ろの役割からゲームを組み立てる役割にフォーカス。文字通りのリーダーとしてチームを欧州に見事に導いた。
AFCONとリーダーのジャカが離脱した時期は星取りと内容の両面で苦しかったが、最後の最後でもう一度引き上げることに成功。最終節では欧州カップ戦争いのライバルであるチェルシーを直接下し、見事に昇格1年目での欧州出場権確保に至った。
個性的な傭兵集団をまとめ上げてチームとして完成度の高いところまで素早く仕上げて最後まで持たせたル・ブリの功績が素晴らしいのはいうまでもない。編成の思い切りの良さとそれに応えた指揮官が噛み合った素晴らしいチーム作りだった。
Pick up player:ロビン・レフス
強いチームは一番前と一番後ろがしっかりしている。サンダーランドも例外ではなく、レフスは近年で最も優れた昇格組の守護神だった。
今季の道のり

【8位】ブライトン
14勝11分13敗/勝ち点53/得点52 失点46

オーソドックス寄りの傾向が不気味に映る
なかなか難しいシーズンだったなというのが正直な感想だ。最終的に8位で終わったということ自体は評価すべきだろう。他リーグからの逸材発掘に注力しながら中位安定の立ち位置を確立することは容易ではない。逆に言えば、それが今のプレミアの中堅勢の生き残りの条件なのかもしれないけども。
結果的には来季はカンファレンスリーグに出場。クラブは2回目の欧州への出場権を手にした。
ただ、内容的には昨季以上に不安定さが際立ったような感じは否めない。ブライトンというチームは個人的にはインサイドへ強引に差し込むパスワークで浮いたサイドのスペースを強力なWGでこじ開けるスタイルが主流。ヒュルツェラーになって、後方の陣形がさらに複雑化していったというのが24-25の流れだった。
しかしながら、25-26はそうした後方の陣形をいじりながら相手を乱していくようなシーンが減少。どちらかといえば、前置きなしにWGの質を生かしていくような格好となった。そのため、前線の面々は一人剥がすことが求められるという負荷が大きい展開。序盤戦はミンテ、後半戦は三笘など特定の選手にかなり頼るような試合運びが多かった。
イメージとしてはシステマティックさが先行していたチームがより素材による解決策に走っていった印象。ラターも含めて個人でどうにかできる選手の存在感がやや増したシーズンだった。
後半戦になると、少しずつ後方のメンバーが固まったことによる上積みが出てくる。カディオール、デ・クーパーのパフォーマンスが安定したことでサイドアタックの精度は高まることに。
CHではヒンシェルウッドが序列を一気に上げたことで流動性がアップ。勝てていない時期に指揮官が自分よりも年上のミルナーを抜擢した試合は今季のブライトンのターニングポイントと言えるだろう。さすがに全試合はミルナーの体力的には難しかったが、冬に帰還したグロスも含めて中盤のタスクがビルドアップからフィニッシュまで多岐にわたるようになってきたところでようやくブライトンらしいファジーさが出てきたように思える。
守備に関してはアグレッシブさが先行している分、ファン・ヘッケは外せない状況。ダンクはかなり厳しさがあったが、ボスカリなどの新戦力に広い範囲を託すのは怖いままシーズンを終えてしまった感じもある。
セットプレーでの甘さは特に終盤戦に際立った印象。総合格闘家を呼んで対策を打ったという報道の後にさらに失点が増えたのは個人的には面白かった。
戦い方が全体的にシンプルな戦力のリソースに寄っているところは少し気になるところ。尖り続ければいいというわけではないけども、オーソドックス寄りになってしまうと単純に人件費の差が出てくるようにはなってくるように思えるので、ブライトンらしいクセを消さないようなスタイル作りは来年以降も期待したいところではある。
Pick up player:ジェームス・ミルナー
抜擢された試合で味方を追い越すプレスで守備を鼓舞していた姿、忘れられない。
今季の道のり

【9位】ブレントフォード
14勝11分13敗/勝ち点53/得点55 失点52

今年も埋まった前線の穴
他リーグから引っ張ってくるリクルート力がプレミア中堅への躍進の条件とこの記事ではすでに述べたが、ことブレントフォードの生き残り力は明らかに異次元。プレミア昇格以降、毎年のように主力を抜かれるシーズンを繰り返しているのだが、それでも毎年降格争いに絡んでこないのはすごいこと。そういう意味でこのチームはある意味ボーンマスの数歩先を行っているといっても過言ではない。
トニー、ラヤの穴を埋めることでなんとか耐え切ったここ数年だったが、25-26シーズンはムベウモとウィサというダブルエースをあっさりと引き抜かれて苦戦。わかりやすいスコアリングという意味での新加入選手は不在。さらにはトーマス・フランクの退任でキース・アンドリュースの内部昇格という不安要素も上乗せという状況だった。
開幕戦は無気力な4-4-2に終始。前から遅れてプレスにいくことで余計に傷口を広げるような前進の仕方を相手に許してしまい、このままでは今年は降格争いか?と心配したくなるような出来だった。
しかし、ここからきっちり右肩上がりのパフォーマンスを披露。きっかけを掴んだのは劇的なレイトタイムウィナーで3ポイントを掴んだ第6節のマンチェスター・ユナイテッド戦だろう。第9節のリバプール戦ではアンフィールドでガッチリと組み合ったところから順当な勝利を挙げている。
要因の1つは前進とスコアリングの手段が定まったこと。ウィサ、トニー、ムベウモというエース格がいなくなった最前線に君臨したのはチアゴ。昨季までの出来であれば物足りなかった前線のターゲット役もフィニッシュワークも明らかに別人。それこそ、マンチェスター・ユナイテッド戦で相手のCBを吹っ飛ばし続けたあたりから今年は違う風格を漂わせていた。
中盤ではアーセナルに退団したノアゴールの穴を埋めるようにヤルモリュクが台頭。ボーンマスのように即戦力がフィットしているわけではないが、主力の退団を見越した戦力の強化が実を結んでいるというのは明らかである。
監督のアンドリュースは得意分野のセットプレーで磨きをかけつつ、オープンプレーでも攻守に精度を上げていく。なんでもできるチームというわけではないけども、ファストブレイクを中心とした手堅いチームを作り上げて、終盤戦は例年通りの「倒しにくいブレントフォード」に辿り着くことができた。
メンバーの入れ替えという意味では比較的ここまでは穏やかな夏を過ごしているブレントフォード。熟成の2年目にアンドリュースはどのような上積みを見せることができるだろうか。
Pick up player:イゴール・チアゴ
2024年の自分に「来季イゴール・チアゴが20得点を取る」という情報を与えても信じないと思う。
今季の道のり

【10位】チェルシー
14勝10分14敗/勝ち点52/得点58 失点52

ミクロでもマクロでも不安定さ先行
拡大したクラブW杯の初代王者というタイトルを提げてプレミアに臨むこととなったチェルシー。しかし、アメリカで手にした王者の肩書きにふさわしいシーズンを過ごすことはできなかったと言えるだろう。
この順位に終わってしまったのは終盤戦の失速が大きな要因となる。30節以降の9試合で7つの敗戦。第34節に今季2回目の監督交代を実施しても、悪い流れは止めることができなかった。
どこまでピッチに影響があったかはわからないが、終盤戦はやや選手のコミット不足が見られたように思える。特にピッチ外では移籍先をめぐる発言が横行し、結果的にエンソが内部で出場停止処分を科されるなど、小さくはない影響が表に見える部分でも露呈していた。
ただ、要因の1つとして考えられそうなマレスカの退団は例年のチェルシーの監督解任とは少しテイストが違うのは留意しておきたいところ。次の仕事を見据えたアクションが検知されたというのであれば、チーム側が不信感を抱くのは当たり前ではある。もっとも、その部分も度重なる解任劇で自分たちの監督を「入れ替わる前提の役職」としてしまった影響があるのかもしれないが。
いずれにしても能動的でない監督交代劇ということでチェルシーの首脳陣はバタバタしただろう。明らかにとりあえず連れて来られる人を連れて来たんだろうなというロシニアは、はじめこそビルドアップのローテーション増加によるプレス回避を仕込んでいたが、もたらされるプラスの効果は長続きしなかった。
ピッチの中では主軸が定まるポジションの少なさが目につく。手放しでフル稼働と言っていいのはエンソ、ジョアン・ペドロ、カイセド、ククレジャ、ネトまで。カイセドとネトはシーズン後半には明らかに調子を落としており、シーズンを高い水準で完走することはできず。ここにCBの名前が上がってこないあたりが今季のやりくりの苦しさを象徴している。
試合単体で見ると退場者の多さも見逃せない。明らかに後方の広いスペースをCBがカバーする機会が多いなど、明確な理由があればまだいいのだが、「1枚もらっていたの覚えていなかったの?」と言いたくなるような2枚目のイエローでの退場など、外から手の打ちようがないものであるケースもしばしば。アーセナルでもカード頻発時期はあったけども、明らかな要因を排除しつつ、選手のプレーが安定するのを待つしかないように思える。
ピッチ内外での不安定さが先行するシーズンとなったチェルシー。来季はシャビ・アロンソの下で腰を据えてプレミアリーグを戦うことができるだろうか。
Pick up player:ジョアン・ペドロ
勝ち上がりごとに賞金が跳ねるCWCでは自分のゴールで自分の移籍金を回収。それがなくともCFとして移籍1年目からフル稼働し、なかなか当たりがなかった新加入選手の中で別格の輝きを見せた。
今季の道のり

