第一弾はこちら。

MF
山本悠樹
やるしかない人
なかなか難しいシーズンになってしまったなという感じ。プレー自体はできたけども、それ以上の上積みがどこまでできたかというと・・・という半年になってしまった感がある。移籍からのキャリアを振り返ると、山本は加入直後に「おっ」となって、そこからしばらく低調の時期が続き、めっちゃ輝きを放ったという時期を経て今という感じなので、そもそもはこういう波が大きい選手なのかもしれない。
何がダメだったか?と言われると難しいのだけども、守備で通されたくないところを通されてしまうケースが多い割には、保持での支配力が発揮できなかったところだろうか。彼が出ていってしまったことで左サイドがキャパオーバーになるというケースはそれなりに見る。出ていくアクション自体は当然必要なのだけども、いかに成功率が高い状況で相手の次の選択肢を封じる方向に持っていけるか?というところは左サイド全体で完成度が低かった。
保持のところは仕組みの中でしわ寄せを食らって……ということならば精度が落ちるのはわかるけども、オープンな状態や以前ならやれていたであろうタイトさでミスが出てしまうと首を傾げてしまいたくなるなという感じ。この辺りは冒頭で述べた調子の波のようなところを感じる部分だったりする。
ただ、後方から味方の動き出しを見逃さないパスを出せたりとか、あるいはビルドアップの人数調整とか、大島がいない前提に立つのであれば彼にしかできない仕事は存在しているのは確かではある。何人かいる「あなたがやるしかないのだから」のうちの1人なのは間違いないので、来季はチームをシーズンを通して支える一年としてほしい。
橘田健人
両面での更なるスケールアップを期待
河原と入れ替わるようにスタメンの座を確保した半年。17試合でのスタメン出場は昨季後半の出番がなかった序列を覆すには十分な数字であると言えるだろう。
特に殴り合いのような展開になった時の無理の利き方はピカイチ。たまに黄金期のような「2人いる?」と感じるようなパフォーマンスを見せることもあった。
保持においてもタメながらパスのコースを作ったりなど、冷静さが少しずつ見えるようにはなった。ただ、スピードを上げる、下げるの判断やボールをリリースするタイミングなどは俯瞰で見ていると、もう少し適切なジャッジを下せそうな場面もあるので、この辺りはきっちりと改善したい。
特にせっかく相手を剥がせたような状況でスローダウンしてしまう癖でチャンスを潰していたのはもったいない。今の川崎はチャンスメイクを好き放題できるチームではないだけになおさら。強引なパスミスが相対的に少ない分、後述する河原ほどマイナスを吐いているわけではないけども、目に見えにくい形でチャンスを消してしまっているケースはある。この辺りの安定感が出てくると文句なしでレギュラーの座を確保できることになる。
守備は苦しみはしたけども、そもそもCHが2箇所も3箇所もカバーできる前提のような守り方になっているため、仕組みの中で苦しい部分がある。ハーフスペースの突撃もサイドハーフのカバーも相手のCHの受け渡しもバイタルのケアも全てCHがやる!という状況になればエラーが出るのは必然。橘田がいないところを後から相手に選ばれればなす術はない。
仕組みが整いさえすればもう少しローブロックでも輝きを見せることはできると思う。仕組みの側面と個人のレベルアップの両面で来季はさらなる飛躍を期待したい。
大島僚太
もどかしいね
いやぁ、もどかしい。ただ見ているだけのこっちがそう感じるんだから、当人はどれだけもどかしいんだろうなと思う。できることが少しでも増える1年になるといいね。次は。
脇坂泰斗
川崎が強くなる条件
いろんなモノをたくさん背負ったシーズンだった。キャプテンだし、14番だしと言えばそれまでなのかもしれないけども、ボロボロになりながらチームを背負い続けてくれたことにはまずは感謝を言いたいなと思う。
プレー面ではほぼフル稼働。町田戦での欠場を除けば全試合で45分以上のプレータイムを確保。途中交代もほぼなく、先発した試合では少なくとも80分以上はプレーした。
要因としては単純にトップ下として役割を交換できる選手がいなかったこと。大関の負傷がなければもう少しプレータイムを分割することはできたように思える。
加えて、脇坂でなければできないことは今の川崎には相当ある印象。例えば、後方がビルドアップに詰まっているところでボールを引き取りに行くという判断。例えば、ファストブレイクにおけるボールの預けどころ。例えば、相棒のエリソンに首輪をつけながら4-4-2の守備の舵を取る役割。このいずれに関してもこの半年のクオリティで言えば脇坂以外の選手に任せるのは難しかった。
言うなれば、一番欠けてはいけない要素を多く抱えつつ、チームをまとめながらそれなりにゴールに絡むシーズンを過ごした。5得点、4アシストという数字自体はそれだけで飛び抜けたモノではないかもしれないけども、今季の脇坂が何をしながらこの数字を残したか?ということを考えると、この数字はとても価値があるように思ってしまう。
結局のところ、彼が背負っている荷物をどれだけ下ろせるか?みたいなところは川崎がどこまで強くなれるかのキーになると思う。このキャプテンはなんでも背負いたがるだろうけども、そのキャプテンから荷物を奪い取るような人が出てきてほしいし、キャプテンも荷物を簡単には渡さないよという意地を見せるような図が理想。というか、そうやって強くなったのが川崎フロンターレだと思うので。
名願斗哉
状況を覆せなかった半年に
特別大会における出場時間は3試合でのプレーで合計13分。昨季、急遽の呼び戻しになったことを体現してしまっているなという感じである。来季は栃木SCへの武者修行。体に気をつけていってらっしゃい。
大関友翔
アンダー世代代表の苦悩
しれっと怪我に泣かされたシーズンだった。唯一の先発となった水戸戦では脇坂と役割交換が可能で中盤の流動性を挙げた一方で、ボールタッチがシンプルさに欠けた分、相手の刈りどころに定められてしまった感じがあった。
コンディションが整いさえすればこういう部分もシャープになっていくのだろう。だが、なかなか状態が整わないままシーズンを終えてしまうことに。
今回はあまり関係がないけども、アンダー世代の代表はこのコンディション関係が難しいなと思う。世代代表になるとAマッチウィークに関係なく召集がかかる分、クラブとしてコンスタントに戦力として計算しにくい。
回避するにはA代表に呼ばれるか、あるいはそもそも呼ばれないかのどちらかになる。だが、前者の場合は海外へのステップアップが秒読み段階に入ったことの裏返し。後者の場合、アンダー世代に招集されないレベルの選手がJ1のレギュラークラスとして十分なのか?というところの疑問が出てくる。どのルートでも難しいなと思ってしまう。大関関係ないけども。
紺野和也
シビアにフィットが求められる立ち位置
長谷部監督とのタッグの経験があるということで、早期のフィットが期待される戦力ではあったが、この半年ではその経験を活かしてレギュラーの座を確保することができなかった。新戦力の中でも特に厳しいシーズンを過ごした印象だ。
谷口と似たタイミングでの離脱ということで、そもそも真価を発揮できなかったという向きもあるだろうし、ある程度それは事実だとは思う。しかしながら、何を武器にレギュラーを狙っていくのか?というところがあまり見えてこないところがあるなというのが現時点での紺野への印象である。
特にアタッキングサードにおけるプレー選択においてはかなり顕著。味方のオーバーラップを使えるケースが少なく、自分にマークが付いている状況を利用することができなかった感がある。
2枚マークが来ている状況でSBのオーバーラップを積極的に使わないのであれば、自分でプレーをやり切る力強さは欲しいのだけども、その力強さも伊藤を基準で見ても下回ってしまうケースが多いとか。ならそもそもSBを使いやすくする家長の方がいいなという流れの試合もあった。
守備に関しては自陣のスペースを埋めることに関してはさすがに家長や伊藤よりは献身的にやっているなという感じはある。その一方で前からのプレスのスイッチ役を主導できるわけでもないし、遅れるタイミングで飛び出すこともあるにはあるので、ここをスタメン起用の理由として一点突破するにはどこか腑に落ちないところが個人的にはある。1人が多少きちっとしていても、他のところで綻びが出るなら意味がない!という川崎の現状もなかなか辛いものがあるけども。焼け石に水というか。
紺野目線でモノを考えるならば、福岡時代のイメージでいうところのクロスのターゲット役となるFWがいないのは気の毒だった。ラセルダやロマニッチを活かしながらまずはサイドからの攻撃でこういうことができる!ということを早い段階で示すことが新シーズンで求められる要素。若手アタッカーではなく、指揮官に師事していた経験値豊富な選手という立ち位置を踏まえると、新シーズンにおけるフィットのスピード感もシビアに求めていきたいなと思っている。
河原創
特徴を正当化するために
半年間で少しずつ序列を落とした特別大会となってしまった。基本的には流れる展開の方が向いていて、ダイレクトに展開を前に進めるプレーを選択する傾向が強い選手。この半年間はその傾向がより激しくなったように思えた。
その結果、苦しい状況における博打のようなパスでピンチを迎えるケースも少なくはなく、その点が悪い方に転がってしまったという時間が続いてしまった。いい方に転がるとリズムが変わるのだけども、悪い方に転がると流れを相手に渡してしまうというプレーに軸足を置き過ぎてしまったかなという印象だ。
もちろん、その思い切りのいいプレー選択が一番いい方向に転がったのが浦和戦の決勝ゴールだろう。あそこでダイレクトでシュートという選択ができるのはいかにも河原。河原だからこそあの日の等々力劇場は生み出されたし、あのゴールの裏側には多くのうまくいかなかったダイレクトなプレー選択が潜んでいるようにも思える。
結局のところ、評価を上げるにはプレー選択の納得感を上げるしかないように思える。ダイレクトなプレーの成功率を上げるのもそうだけども、少し時間をかけるプレー選択の中で何ができるかを提示していくとか。そういうテンポでプレーできてくると、また元々の特徴であるプレーは生きてくるようにも感じる。抽象的ではあるけども、自分の得意な流れ以外でどのようなクオリティを見せられるかが今後の河原の天井を決めるような気がしている。
長璃喜
先発とブーストそれぞれで成長を
どうにもならなかった鹿島戦では途中出場。追い込まれたチームが気持ちよく送り出したことがよくわかるような思い切りの良さがインパクトを残すデビュー戦となった。切れ味のあるドリブルで突破口がなかったこの試合の希望となった。
しかしながら、この試合以降はインパクトは停滞気味。カウンター局面でミスが目立ってしまい、攻撃を完結させることができないケースが多かったのは気になるところではある。
基本的には鹿島戦も途中交代選手らしいブーストをかけての「20分で輝き切る!」というようなプレーだったので、先発した時に何ができるか?というところはまた別の話なのかなと思う。今の左サイドはレギュラーも狙えるポジションだと思うけども、先発で出た時のプレースタイルの確立と、交代で出た時のブーストの成功率の両面でまだ途上の選手なのかなという感じ。
家長昭博
陣地回復と味方解放でまだ働ける
先発はわずか2試合。いずれも60分には交代と一気にプレータイムは減少。元々スロースターターな印象はあるけども、3月以降はベンチ入りもなしと、これほどまでに負傷に苦しんだシーズンはなかった記憶だ。
出ている時期もコンディションが整っていなかったこともあり、守備での戻り遅れやボールを逃すところの精度不足など足りない部分が先行。なかなか戦力として思うような半年を過ごせなかった。
守備に難があるのは重々承知の上で、陣地を回復するということと敵陣で味方をフリーにするということに関しては、まだこの川崎においては第一人者なのだなということも痛感する半年ではある。保持で守備の機会を減らすということが旗印である以上、家長にはまだまだこのチームで輝く余地があると思う。
つづく。