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「俺もカタール行きたかったな」~FIFA World Cup QATAR 2022 全チーム総括 part2~

敗れた各国の生き様を振り返る。その2。前回はこちら

目次

【E組3位】ドイツ

■紙一重の敗退で気になったズレとの付き合い方

 やってしまった!!!!2強2弱と目されたグループでありながら日本にまさかの逆転負けを喫してしまうとスペインには粘りの引き分けで望みをつなぐ。「スペイン頼んだで!!!」と臨んだ3試合目にスペインに裏切られてしまい終戦。2強2弱のグループなのに2強が走らなかったことで割を食ってしまった。

 なんで敗退したの?と言われると難しいところではある。負けたとなると何事も悪いこと探しから始まってしまうと思うが、270分を要素還元的に振り返ってみれば、明らかに悪い過ごし方をしたのは日本戦の後半45分くらいのものだろう。むしろ、スペインとの一戦は非常にレベルが高い鍔迫り合いであり、グループステージの中においてはベストバウトといっても差し支えがない内容だった。基本的には強いチームだなというのが正直なところである。

 ということは敗退の要因は日本戦の45分に詰まっているということになる。日本に対応された理由はズレに頼りすぎている部分が大きいからだろうか。相手をずらすということができていた前半45分は明らかに日本を圧倒することができていたし、後半45分はハメられてしまい手詰まりになってしまった。

 サッカーのレビューを書いていると度々図を使って説明をしたくなるズレみたいなシーンは試合の中で登場する。ただ、正直な話、試合はそういったこと以外で決まることが多い。例えばミドルシュートがいかに強烈かを伝えるためにフォーメーション図はいらないし、ドリブルの技術の高さを図で表現するには限界がある。

 欧州予選やEUROでドイツ代表を見てきて思ったのは、そうしたチームの中ではドイツは図で使える事象で勝因を説明しやすいチームであるということだ。盤面でのズレに頼りすぎている感はそうした部分から出るのかなとなんとなく思う。

 それでも、ドイツは5-4-1型の撤退に対して崩す手段がないチームというわけではない。コスタリカ戦をみれば敵陣に押し込んだ相手に対しては明確な解を持っているチームだし、ハフェルツのように背中を取れるアタッカーも存在感を放っていた。グナブリーは左サイドを制圧したし、日本戦同様に暴れ回ったムシアラに至っては図で示せないような「バグ」を作り出せる選手と言えるだろう。

 コスタリカに比べれば日本の5-4-1は明らかに強度が高かったが、その日本戦においてもシュートがボール1個内側だったり、オフサイドラインを一歩超えなかったりと紙一重で変わった部分である。逆に日本戦の逆転はDFラインのわずかなミスが命取りになった。

 今回の敗退を糧にするならズレとの付き合い方になるだろう。誰がどこに入っても機能するスペインのような均質性はない一方で、ブラジルやフランスほどバグを作り出せる選手は多くはないのが少し気になるところだ。

Pick up player:ジャマル・ムシアラ
 細かいタッチでDFに飛び込むことを許さず、何人もの相手を抜き去った怪物。期待にそぐわないことが起きた強豪国はビックトーナメント以降の舵取りは不透明な傾向がある。だが、ドイツがどの道を選ぼうとそこにムシアラがいることだけは間違いない。そんな思いを抱かせる圧巻のパフォーマンスだった。

今大会のハイライト

【E組4位】コスタリカ

■対応できる局面の乏しさは目につく

 「2弱」らしくスペインとドイツにきっちり敗れて、日本に勝利をするという比較的順当な星取をしたコスタリカ。勝敗の話で言えば、ちょうど日本と真逆の印象が強い。

 初戦のスペイン戦のフォーメーションは4-4-2でスタートしたが、アンカーに平気で前を向かれたり、ハーフスペースの裏抜けに対応することでバイタルが空いてしまうという無限ループで失点を繰り返しまくる。反省を生かし、後半に採用した5-4-1が以降の基本フォーメーションになる。

 しかし、この5-4-1も強度や完成度が高いものとは言えない。ドイツ相手には枚数が揃っているものの、相手に平気にヘディングを許してしまう場面を頻発。人数が多い分、責任感が薄まってしまっているかのパフォーマンスを見せてしまう。

 5-4-1だろうと4-4-2だろうと基本的にはミドルゾーンで構えたい意志を見せていたが、結果的にPA付近まで下げられてしまうケースばかり。敵陣に攻める機会を得るのに終始苦労した。日本戦は勝利こそしたが、可能性が非常に薄い勝ち筋を手にした要素は無視できない。押し下げられるけど押し上げられないという困難から終始脱却することは難しかった。

 多少なりとも緩衝材になるのはキャンベル。ボールを預けられ、ファウルを得ることができるキャンベルは日本の波状攻撃を抑制する存在として効いていた。だが、ドイツ相手にはほとんど彼のキープは通用せず。ドイツの先制点は彼のボールロストからである。

 アンダードッグとして、後ろに重心を重たくし、相手にボールを持たせるプランにストレスを感じないのは強みであるが、どの局面にも対応することが求められる今回のような大会においては安定して勝ち点を稼ぐのは難しかったはずだ。

Pick up player:ジョエル・キャンベル
 どれだけ降りてきてもOK。そして、彼がボールを持てば味方が追い越すランを始めるというあたり正真正銘のコスタリカの王様。アーセナルファンとしては元気そうで安心した。

今大会のハイライト

【F組3位】ベルギー

■トレンド逆行型スタイルの代償

 やっちまった!!!!!その2!!!!!!思えば初戦から雲行きは怪しかった。高い位置からボールを追い回し、機動力で振り回してくるカナダには強度で圧倒されてしまい、攻守に完成度の高いモロッコの前では沈黙。クロアチア相手には勝利まで肉薄したが、ルカクが絶対にシュートが決まらない呪いにかかってしまい、にっちもさっちも行かなくなってしまった。

 システムとしては前後分断型の攻守分業制というEUROからの流れを継続。バックラインからのフィードとデ・ブライネのドリブルで前線に「行ってこい!」と託すサッカーはタレント力に依存するところが多い。そういう意味ではルカクの合流遅れやエデン・アザールの不振などでタレントがうまく自分の仕事ができなかったことの要素が敗退の一因となるだろう。

 だが、そもそも前後分断的なサッカーしか設計できなかったことが間違いであるとする向きもできる。コンパクトさや慎重さ、勝負どころを集約するチームが躍進している今大会をみれば、ルーズな陣形を許容し、90分間抑揚なく前にただただ進んでいくベルギーのスタイルは大会のトレンドに逆行しているといっていい。

 「年寄りばっかり」とデ・ブライネが疑心暗鬼ならば尚更戦いは厳しいものになる。なお、そのデ・ブライネに噛みついたクルトワの発言は普段の彼基準なら通常運転と言える程度な気もしないでもない。まぁ、この2人はそれがなくたって女関係で元々仲悪いだろうけども!ちなみに、内紛系の話で言えば今大会ではボリュームはダントツ。敗退でメディアのおもちゃになりまくっている感がある。

 いずれにしても広大なスペースなできる自陣のカバーが数年間変わり映えしないメンバーであるのだから、EUROと比べて守備の改善を期待するのには無理がある。獅子奮迅のヴィツェルがいなければ、守備はさらにひどいことになっていただろう。

 それでも第3節のクロアチア戦では全体を押し上げるようなボール保持を披露。チームの状況は徐々に上向きになっていたのも確か。第3節ではそれまで感じられた前後分断感は薄れていた。ルカクが1つでもゴールを決めていればまた違った姿をノックアウトラウンドで見せられた未来もなかったわけではない。

 すでにロベルト・マルティネスが辞任を表明しており、新体制の発足は確実。新監督には派手でなくともコレクティブでソリッドな組織を作りに取り組むことになる。このチームは普通にやれれば強い。

 ただし、監督にはバラバラな代表チームを統率できるカリスマ性が第一を求めたい。トレンドの戦術を取り入れることは監督自身が乗り出さなくてもできるはずなので、まずは話を聞いて同じ方向をチームに向かせる指揮官の招聘が必要となるだろう。

Pick up player:アクセル・ヴィツェル
 クロスの対応もバイタルの穴埋めも自陣からのボールのキャリーも全部やった。だって誰もやらないんだもん。

今大会のハイライト

【F組4位】カナダ

■機動力一辺倒となった試合運びは反省点

 日本との親善試合で好パフォーマンスを披露し、やったろうじゃん!感をアピールしていたカナダ。初戦、序盤のハイプレスからの速攻の繰り返しでベルギー相手にPKを奪い取ることができた時は勢いは本物のように思えた。

 しかし、無慈悲なクルトワにPKを止められてしまうとここから流れが一変。殴り返せばいいんじゃね?と気づいたベルギーが前線のタレントを存分に生かして乱戦に持ち込まれてしまうと、破壊力で屈してしまう。

 続く2試合目に当たったクロアチアは近年最高の出来という不運。モドリッチ、コバチッチ、ブロゾビッチに大暴れされるというのは想定できても、クラマリッチに前線の起点とフィニッシャーとして無双されるとなるともう手の打ちようがない。カナダ側の緩さはあったが、次のベルギー戦でのクロアチアを見ると、この日の彼らの出来はやや別格感があった。

 敗退が決まったモロッコ戦では高い位置からのプレッシングにたじたじに。ベルギー戦の意趣返しといった形で猛烈なハイプレスを受けて、バックラインのパスミスを犯して失点。そのまま一気に畳み掛けられてしまい、手も足もでなかった。

 機動力やゴールに迫っていく部分は申し分なかったが、試合を落ち着いて運ぶといったところはやや物足りなかった印象。焦りながら攻め急いでしまうせいで試合運びが一本調子になってしまった。攻め手が機動力一辺倒になっていたのは反省点である。

 落ち着いたゲームメイクからの攻め手や、プレスに傾倒しすぎない守り方などチームとしての成熟度はここから高めていきたいところ。申し分のないタレント力で自国開催の4年後こそ、力を世界に知らしめるワールドカップにしたい。

Pick up player:アルフォンソ・デイビス
 押しも押されぬカナダの中心選手だが、クルトワにPKを止められてしまいチームの勢いを削いでしまう悔しい大会に。よりチームを強く引っ張れる存在となり、この舞台に帰ってきたい。

今大会のハイライト

【G組3位】カメルーン

■ミラクル属性のアフリカンは笑顔でカタールを去る

 不屈のライオンは今大会でもミラクル属性を披露し、存在感を発揮した。今大会のアフリカ勢はチュニジアやモロッコのようにソリッドな組織力と緻密なボール保持を両立するチームが増えた印象だが、カメルーンにとってはそんなトレンドはどこ吹く風。ガーッと言ってバーっとやる!みたいなスタンスは近代化が激しいW杯において逆に目新しい存在と言えるだろう。

 初戦でスイスに抑え込まれて敗れると、ソング監督はGKのオナナに「繋いでないでバッと蹴れ」と命じる。アヤックス産のGKはこれに背き、大会中に帰国。もはやカメルーン代表ではお馴染みとなっている内紛を今回も見られたことはもはや個人的には感慨深い領域である。

 オナナを外して迎えたセルビア戦では終始攻め込まれる苦しい展開が続くが、セルビアが前に出続けたことにつけ入り「つないでいないでバッと蹴る」形から、裏抜けを連発して一気に同点に追いついて見せた。ソング監督、有言実行でございました。

 わずかな突破の望みをかけた最終節のブラジル戦はとりあえずハイプレスで迎撃し、素早いカウンターで裏抜けを狙いまくる。控え中心とはいえ、ブレーメルとミリトンが待ち受けるブラジルのDF陣には苦戦。リスクを賭けたバックラインはイエローカードだらけという厳しい状況に。

 しかしながら、諦めずに実直に裏抜けを続けると、最後はブラジル相手に金星を奪取する。得点を決めたアブバカルは豪快にユニフォームを脱いで2枚目の警告をゲット。主審と笑い合いながら退場するという牧歌的な最後を迎える。

 戦術的にはちっとも整備されていなかったし、得意な局面も限定的だ。それでも、見ている人がどこか楽しくなるサッカーは唯一無二。おそらくだが、グループステージ敗退した国の中で最もハッピーなチームだったはず。ブラジル相手に金星を挙げて、笑顔で大会を去ったカメルーンは今回のW杯における一服の清涼剤とも言える存在だった。

Pick up player:ブライアン・ムベウモ
 ガーッとカウンターで走っていくカメルーンのアタッカー陣の中でポストプレーで味方をフリーにできる汗かき役。ブレントフォードでの活躍を代表でもそのままに持ち込む安定感のある働きだった。

今大会のハイライト

【G組4位】セルビア

■戦術的持続力と手当て不足で受けに回った際の脆さを露呈

 ポルトガルを抑えて欧州予選をストレート通過。前線のアタッカーが充実期を迎えたこともあり、ブラジルに次ぐグループ突破の期待がかかる本大会となった。

 しかしながら、蓋を開けてみればまさかの未勝利での敗退という厳しい結果に。初戦は(枠内シュートが0とはいえ)ソリッドな組織でなんとかブラジルの攻撃を耐え凌ぐ形で抵抗を見せていた。

 だが、2戦目以降に我慢を続けたブラジル戦の反動がきた感じは受ける。よりアグレッシブなスタンスが許されるようになったカメルーン戦では、相手を引き出しながら攻撃的なWBを活用するスタンスで敵陣を侵攻していく。スカスカなカメルーンの中盤を活用し逆サイドに展開を行い、WBが単騎で攻め込むことができる状況を作り出すことができていた。

 悔やまれるのはその試合運びである。カメルーン戦ではイケイケなスタンスをリード後も続けたことで、相手に裏のスペースをバカスカつかれる事態が発生。2点のリードをあっという間に溶かしてしまった。

 突破をかけた直接対決となったスイス戦でも組織力ではスイスと差があったように思う。プレッシングのはめ込み方は十分にうまくいっていたが、スイスのアタッカー陣が移動を開始すると、守備の基準を見失ってしまうようになる。瞬間出力では十分に相手と渡り合えるが、出力を持続させる部分で長持ちがしなかったのは勝ち点を簡単に落としてしまう要因となっていた。

 一度基準を見失ってしまうと、個人で相手と張れるDFがいないのも辛い。カメルーン戦ではバックラインのズレが見られるなど、対人能力だけでなくラインコントロールにも難が見られた。

 好調を期待されたアタッカー陣もミトロビッチは負傷あけの影響があってか序盤は思ったような活躍が見られず。ヴラホビッチは限られた出場機会で結果は出したが、彼の代名詞として語られるのはスイス戦のゴールではなくピッチの外の話なのも残念なところである。

 WBが超攻撃的なピクシーの陣形は魅力的ではあったが、受けに回った時の脆さが垣間見えたのも事実。指揮官がそれをケアするプランを見せることができなかったのも敗退の一因と言えるだろう。

Pick up player:セルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ
 GKにもう一人ミリンコビッチ=サビッチがいるって知らなかった。

今大会のハイライト

【H組3位】ウルグアイ

■豪華なタレント陣は軒並み不発

 長年に渡ってウルグアイを牽引してきたタバレスが監督を退いてから初めてのW杯。スアレスの集大成となる大会を4年間で各クラブで存在感を高めたタレントが支えるというスカッドはなかなかに魅力的なものだった。

 しかしながら、初戦の韓国戦から暗雲が漂う。初戦だから慎重に入っただけと言えなくもないが、ボールを動かして相手を攻略するプランが豊富とはいえず、敵陣に侵入する機会は限定的。得点の匂いがなかなか漂わない厳しいボール保持を露呈する。

 一方で韓国が攻め込もうとびくともしないバックラインのクオリティはさすが。倒せそうで倒せないウルグアイは韓国相手に壁として十分立ちはだかったとも取ることができる。

 しかしながら、この課題は2試合目以降も持ち越されることになる。攻撃においては時折スーパープレーを見せつけるバルベルデ以外は期待されたタレント陣はあまり目立った活躍を見せることができず。ヌニェスは抜け出しからの決定機をものにできず、リバプールで見せたような馬力は発揮されなかった。トッテナムにおいて攻め上がりで光るものを見せているベンタンクールは中盤低い位置でのプレーを余儀なくされて、そもそも攻め上がる機会を与えてもらえなかった。

 その上で泣かされたのはPK判定である。ポルトガル戦ではヒメネスの微妙な支え手がハンドを取られ、ガーナ戦ではことごとくPK絡みの判定が相手側に向いてしまうという不運もあった。1つ1つをみれば明確な誤審とはいえないものばかりだが、そうした判定が全て相手側に流れてしまうのはツキがなかったと言える。

 強いチームであれば関係ないのだろうが、今回のウルグアイにはそうしたものを跳ね返す力はなかった。強固な守備で鍵をかける組織力はさすがだが、豊富なタレントを活かしてでの攻撃に活路を見出すことができなければ、今後も今回のように勿体無さの残る敗退を繰り返す可能性もある。

Pick up player:フェデリコ・バルベルデ
 機能しない攻撃陣において一人気を吐くプレーを披露。「僕すごいでしょ」という自己紹介のようなプレーを毎試合見せるクオリティはさすがであった。

今大会のハイライト

【H組4位】 ガーナ

■得意な時間と苦手な時間の明暗がくっきりと

 ガーナにとって一番厳しかったのは初戦となるポルトガル戦である。ポルトガルのボール保持に押し込まれ、彼らの即時奪回に苦しむことに。PA内を好き放題攻め込まれたわけではないが、ボールを自陣から出すことができない時間帯が長引いており、彼らに支配される展開が続いていた。

 それでも保持で自分たちの時間を作ることができれば十分に輝くことができるのがガーナである。バックラインにプレスがかからなくなった時間においては、ポルトガルを相手に回しても十分に通用。アンドレ・アイェウのゴールはチームとして完成度の高い攻撃を披露することができた。

 終盤までもつれたポルトガル戦で勝ち点を1でも取ることができればGS敗退の未来は変わったかもしれない。ラストプレーでポルトガルのGKコスタの背後から忍び寄ったイニャキ・ウィリアムズの忍者作戦が成功すれば、W杯史に残る1ページに刻まれていたことだろう。足を滑らせて未遂に終わったことが悔やまれる。

 以降の2試合もボールを持つことができれば強みを発揮できていたし、押し込まれれば脆さを見せることになる。トーマスを司令塔にするボール保持は滑らかでさすがは好調のクラブを牽引するだけある。

 前線で圧倒的なタレントを見せたのはクドゥス。アヤックスでプレーする逸材はボールを収めて味方に時間を作るキープ力、自らがカットインしてのドリブル、そしてエリア内に顔を出すフィニッシュと最後1/3に求められる万能性は圧倒的。この大会で価値を挙げたタレントの1人と言っていいだろう。トーマスがタクトを振るい、クドゥスがエリア内に入り込む。敵陣でSBがオーバーラップで攻撃の厚みをもたらしている時間帯はガーナの強さを感じることができる。

 だが、ウルグアイ戦ではポルトガル戦に続いて非保持で苦しんだ。押し込まれてしまうと中盤のコンパクトさを維持することができず、ウルグアイに縦パスをビシバシ通されてしまう場面が目立った。

 得意な局面と苦手な局面がはっきりしている分、90分の中では必ず自分たちの時間を作ることができる。その一方で安定した試合運びは期待できないというムラっ気があった。どちらかといえば風情はチュニジア、モロッコよりもカメルーン寄りの古きアフリカンスタイルに近いと言えるだろう。

 最終節は宿敵ウルグアイの突破を阻むことで自らの敗退そっちのけで祝うシーンがSNSで拡散されていた。カメルーンといいアフリカ勢は笑って去る運命になっているのだろうか。

Pick up player:ローレンス・アティ=シギ
 ウルグアイ戦でファインセーブを連発し、突破に必要な3点目を阻み続けたGK。スアレスへの恨みを晴らす貢献を果たした。

今大会のハイライト

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