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「ブレントフォードさん、シティの勝ち方教えてよ」〜勝手にプレミア定点観測 22-23 まとめ part4~

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目次

【16位】ノッティンガム・フォレスト

9勝11分18敗/勝ち点38/得点38 失点68

熟成というより組み合わせ、ラストピースはアウォニイ

 監督交代ラッシュに巻き込まれることなくクーパーで1シーズンを乗り切ることに成功したフォレスト。大目標である残留を手にしたことは手放しで称賛されるべきであるだろう。

 この記事のシリーズでも述べてきたように下位のチームは監督交代ラッシュ。ちなみにここから下は全チーム監督を交代しています。だが、それにも関わらず根強い一貫性が・・・という風にならないのはやはりプレミア記録を更新する人数を補強した夏の移籍市場のインパクトが強いからだろう。

 そのため、下から上がってきたスタイル維持といった昇格組らしい振る舞いは皆無。もともとどんなスタイルでやってたの?とかそもそも去年までいた人はこの中にいるの?という感じのスカッドでプレミア残留に挑むシーズンとなった。

 その結果といえば当然なのだが、前半戦のほとんどは必要な戦力の見極めに終始した印象である。フロイラーやギブス=ホワイトといった初めから最後まで走り抜けることができた戦力は非常に稀である。

 むしろ、期待外れも多かった。代表例となるのはリンガードだろう。フォレストファンが思い描いていたウェストハムを牽引していた時代の彼の姿は見る影もなく、むしろ率先してふてくされることでチームの士気を明らかに下げていた。

 前線のデニスはシーズンを通して鳴かず飛ばず。プレミアでの実績が重要視される市場の中でプレミア経験者からつぶれていくという稀有な流れだった。それでもたくさんクジを用意しておけばハズレが多くてもあたりがあるという感じでカバーできていたのはさすがだったけども。

 スカッドの構築の上でバランスが取れていなかったと感じていたのはSBである。攻撃的な大外を駆け上がるタレントが多いものの、チームは徐々に籠城戦からのカウンターというスタイルにシフト。時間をかけてオーバーラップをしたい彼らには合わないうえに、非保持では苦手な対人守備をし続けなければいけない状況はなかなか減らなかった。

 そうした苦境を長けてくれたのはプレミアではなくマドリーにゆかりのあるタレントたち。バックラインではフェリペ、ロディという2人のアトレティコ産。そして、ヘンダーソンがちっとも帰ってこなかったゴールマウスにはマドリーで一時代を築いたケイラー・ナバス。実力者をズラリと並べて撤退守備を強固にする選択をとる。

 中盤、バックラインと徐々にいい方向にメンバーが固まりつつあった中で、残留の最後の決め手になったのは前線。序盤戦以降、長らく離脱していたアウォニイの帰還で攻撃陣が最終盤で爆発したことがラストピースとなった。

 ギブス=ホワイトとジョンソンの相棒になれるどころか、いなかった時間を差し引いてもおつりがくる大暴れ。優勝のわずかな望みを残していたアーセナルを踏み台にして、自身の残留とプレミアリーグの優勝チームを決定する勝利を挙げて見せた。

 システムの熟成というよりも組み合わせ探しに終始していた分、来季以降の見通しは立てにくい。ダブついたスカッドからの組み合わせ探しを来季もシャッフルしなおすのか、それとも今季のスタイルを基本とした発展を狙うのか。クーパー自身の手腕も含め、来季も未知数な部分が多いチームといえるだろう。

Pick up player:モーガン・ギブス=ホワイト
 最後の主役こそアウォニイに持っていかれてしまった感があるが、期間で言えば今季最も長く攻撃陣を牽引したのは断トツで彼。チャンスメイクからフィニッシュまでを担い、ライン間で前を向いたときにシュートまでもっていく信頼感は少ない機会を大事にしたいチームにとっては貴重なものだったといえるだろう。

今季の道のり

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【17位】エバートン

8勝12分18敗/勝ち点36/得点34 失点57

残留争いへの最適化は来季の不安要素

 残ったぞおおおおおお!!!!!!!!最終節の三つ巴サバイバルを制し、何とかプレミアの座をキープ。だが、よかったことといえばそれくらいで基本的には散々なシーズンだったといえるだろう。

 昨シーズンのグレートエスケープの立役者であるランパードは古巣のチェルシー戦で手ごたえを得たローライン型5バックの熟成路線を選択。コーディといった3バックに慣れているCBやローラインをノーストレスでこなすことができるターコウスキという補強もその路線という基準で見れば非常に理にかなったもののように思える。

 その一方で前線の攻撃には苦労した。CFの柱であるキャルバート=ルーウィンは今季も負傷で満足にピッチに立てず。モペイ、シムズ、グレイといった面々を試すが、どれも帯に短し襷に長しという苦しい状況に。

 攻撃のメカニズムを構築できず、先手を奪われると簡単に陣形は間延びする。こうした悪循環を解決することができないままランパードは解任の憂き目にあう。

 後任として呼んできたダイチはエバートンのスカッドのカラー、目標の面では正直これ以上ない人材だと思う。ローラインに耐えられるDF陣に加えて、中盤では上位チームとアスリート能力で互角以上に渡り合うことができるオナナ、ゲイェ、ドゥクレという三銃士もいる。

 さらにはCFには対空性能抜群のキャルバート=ルーウィンもいる。再びのタッグとなったマクニールがいれば、ゴードンが冬にいなくなっても目途は立つだろう。さしずめ豪華なバーンリーといった印象だった。

 就任初戦となったアーセナル戦では首位をホームで吹き飛ばしに成功。ただし、ドラマチックだったのはここまで。以降もキャルバート=ルーウィンは大半の試合を欠場、攻撃の手段を失ったエバートンはここからは泥臭く勝ち点を積み重ねていく形でシフトする。

 この状況に奮起したのがイウォビとマクニールという両翼。低い位置での守備と陣地回復を見せる根性のドリブルキャリーの両立。特に終盤戦のマクニールは得点に絡む決定的な働きを見せる。もちろんハイライトは大勝を決めたブライトン戦だ。

 すべての力を使って残留を手にしたが、見通しは厳しいものがある。金銭面での問題を考慮すれば今夏に大幅な戦力のテコ入れは難しいだろう。ダイチの泥臭いスタンスは残留という目標に向けてはいいかもしれないが、通年を通しての監督としてという観点で見ればスタイルがファンに歓迎されるか?という疑問符も残る。

 ピッチの内外に問題はくすぶり続けているといえるだろう。来季も引き続き正念場は続くことになる公算は高い。

Pick up player:ドミニク・キャルバート=ルーウィン
 出れない試合の多さにも関わらず、出た時の働きは異次元。どんな相手でも競り負けることはなく、高いジャンプでも正確なヘディングでボールをゴールに叩き込むことができる。陣地回復とフィニッシュワークの両面で活躍できるFWがフル稼働できれば、エバートンの流れはガラッと変わってもおかしくはない。

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【18位】レスター

9勝7分22敗/勝ち点34/得点51 失点68

弱まった背骨を支えきれず

 さて、ここからはやっちまったゾーンである。ミラクルレスターとして名を馳せた歴代王者の一角は23-24シーズンをチャンピオンシップで戦うことが決まった。

 開幕からの低空飛行は目を覆いたくなるものだった。夏の移籍市場では売りたい選手が足元を見られまくった結果、売れない事態が発生。フォファナの売却自体は多くの移籍金を得られたかもしれないが、今季のCB事情を考えれば代役は実質不在だったのだなと思わざるをえない。

 誰が残るの?という疑心暗鬼の状態で幕開けした開幕戦はガタガタ。こういう時は何とか踏ん張ってくれる守護神とCBでしのぎたいところだが、このチームはまさにそこがウィークポイント。

 適任者であるシュマイケルはクラブを去り、ウォードはスーパーセーブとミスを交互に繰り返すという劇場型。CBはエバンスが主軸になり切れず、ファエスは向こう見ずの無鉄砲。アマーティは静かにミスを繰り返すといった状況でとてもチームを支えられる状況ではなかった。

 アンカーのスマレやンディディも含めて後方の選手たちはシーズンを通して非常に軽いプレーが目立った。セットプレーで簡単に失点を繰り返すのも減点ポイントではある。

 そういう時にチームを牽引してきたのがヴァーディだが、さすがに今季は衰えが隠せず。絶対的なスピードは鳴りを潜めてしまい、稼働率も大幅に低下。かといってダカやイヘアナチョが大黒柱として独り立ちするわけでもないという厳しいやりくりに。

 一人気を吐いたバーンズと冬の新加入選手のテテの存在で2月には一時期チームは上向いたが、ハイテンポな攻撃陣を守備が支えられない問題は解決しないままテテの確変が終了。再びただ点が遠くて守れないチームに逆戻りしてしまうこととなった。

 中盤戦で完全に引き出しがなくなったロジャーズの解任は妥当だとしても、命運をディーン・スミスに託すという選択はやや半端だった感じはある。だが、いずれにしてもこれだけセンターラインがグラついてしまえばチームの成績が安定しなかったのは当然である。CB、GK、FWといった屋台骨がそろって低調のままシーズンを終えてしまったことが降格を回避できなかった大きな要因といえるだろう。

Pick up player:ハービー・バーンズ
 大けがからカムバックしたドリブラーが活躍するというのはどこのチームの選手でもうれしいもの。回復してすぐだった昨季は精彩を欠いたが、今季はチームを文字通り牽引する希望になった。

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【19位】リーズ

7勝10分21敗/勝ち点31/得点48 失点78

ジェットコースターのような監督人事が混乱を引き起こす

 マルセロ・ビエルサという稀代の哲学者からサム・アラダイスに監督のバトンが渡るまではわずか1年強。この一文だけでリーズがどれだけ大変なシーズンを過ごしてきたかがわかるというものだろう。フットボールの世界の時間の流れは恐ろしいスピードで流れているとは言え、ビエルサ解任後のリーズの動きの目まぐるしさにはなかなかついていけないものがある。

 前半戦は悪くなかったといえるだろう。新戦力のフィットの早さは折り紙付き。中盤ではロカとアダムスが君臨し、中盤ではアーロンソンのクイックネスがプレミアのDFを翻弄し続ける。ビエルサのそれとは違うが、テンポの速い試合運びで相手を振り切って若い攻撃陣が躍動する形は新しいリーズのスタイルとして十分希望を持てるものだった。

 中でもハイライトはアンフィールド制圧だろう。ニョントという新しいタレントの台頭やマーシュのギターパフォーマンスは今季のプレミアのストーリーの中にきっちりと刻まれるものだった。

 風向きが変わったのは秋先を境にアーロンソンがぐっと調子を落としてしまったこと。これで新しいリーズらしいスタイルの維持が難しくなってしまったことから雲行きが一気に怪しくなる。

 そこからあとの監督人事を見渡せば、マーシュの解任は時期尚早だったという見立てもできるだろう。しかしながら、解任直後の試合での動きが生き生きしていたことを踏まえると、リーズの選手とマーシュの間には何かしらの問題があったのかもしれない。

 まったくもって流れを変えることができなかったハビ・グラシアを経て、クラブは残留の命運をビッグサムに託すことになる。屈強なDFラインもいなければ、ロングボールの的も怪我がちなバンフォードしかないという状況で、ビッグサムに何をやってほしいのかは意味不明だが、エティハドで勝ち点と関係ない1点を取るだけでやたらとチームが盛り上がっていたので、テンションを上げてほしかったのだろうと解釈した。

 だが、テンションを上げるだけでは解決できないこともある。3バックの一角にSBのクリステンセン(本人は奮闘していた)を据えなきゃいけない塹壕戦ではプレミアの猛者たちの攻撃はしのげないし、バンフォードが負傷していなくなってからのリーズのクロス攻勢はまるで的のない的当てをやっているかのようだった。

 最終節も勝ちしかない状況で5バックを選択し、数分で失点という祈るスキすら与えない試合運びで早々にレースから脱落。降格の瞬間すら見届けられずに多くのファンが帰路につくなど、散々なシーズンの最後となってしまった。

 クラブ内外も含めて先行きは不透明。戦力もどれくらいキープできるのかはわからない。エランド・ロードにプレミアが戻ってくる日はいつになるのだろうか。

Pick up player:ジャック・ハリソン
 昨年、プレミア残留を決めた劇的ゴールはこの男が決めたもの。そして、今季のラストゴールもこの男。チームを救うことはできなかったが、指揮官がいくら入れ替わろうとチームのために身を粉にして戦うその姿は誇り高いものだった。

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【20位】サウサンプトン

6勝7分25敗/勝ち点25/得点36 失点73

軸のケガと補強の失敗が尾を引く

 順位表はうそをつかないというか、シーズンを通して最高到達点が一番低かった印象はきっちり反映されているように思えた。残留の可能性は最後まで膨らまないままあっけなく降格が決定。長年プレミアを盛り上げた功労者としてはあまりに寂しい降格劇だった。

 低調なシーズンの中であえてよかった時期を挙げるとすればやはり開幕直後になるだろうか。ロメウに代わって中盤に君臨したラビアを軸とした攻撃はワクワクするものがあったし、バックラインのベラ=コチャプは広い範囲のカバーリングで存在感を見せた。

 しかしながら、ラビアの負傷で攻撃の設計図が消滅すると、ベラ=コチャプもシーズンを通して負傷を繰り返し、開幕直後のようなパフォーマンスはすっかり影をひそめるように。攻守の柱候補があっという間にいなくなってしまったことでチームは一気に苦境に立たされる。

 ハーゼンヒュットル解任時の順位は18位。それでもシーズン終盤がほぼテーブルの一番下に常駐していたことを考えれば、このころはまだいい時期だったといえるだろう。

 後任のネイサン・ジョーンズはわずか95日で監督交代。リーグでは全く勝てないのだがなぜかカップ戦で躍進。カラバオカップでシティに勝利し、今季のカップ戦において唯一シティを敗退に追い込んだ存在という変な名誉ある称号を手にしたが、流れがよくなることはなかった。

 再起をかけた冬の大型補強も獲得した戦力はあまりに費用対効果が悪すぎる。スレマナは1試合ごとの波があまりにも大きすぎるし、オヌアチュは体が大きくても競り合うことを嫌がるのであればまったく意味がない。オルシッチは終始行方不明であり、前線で合格点を与えられるのは南米からやってきた最も未知数なアルカラスだけ。ウォルコットの突如の復調がなければもっと悲惨なことになっていただろう。

 こうした不安定な攻撃陣をバックラインは支えることができず。ウォード=プラウズやラビアは奮闘するがなかなかほかの選手の選手がついてこず。2試合を残した状態で無念の降格が決定してしまった。

 ほかの降格チームに比べれば来季に向けた動きが速いのは好材料。すでに来季の監督も決定し、チームも再建に動いている。魑魅魍魎のチャンピオンシップを切り抜け、最短でのプレミア復帰は叶うだろうか。

Pick up player:ロメロ・ラビア
 2024年の買戻し条項を持っているシティの判断は行われることはなさそうだ。おそらく、来季のセインツが彼を抱えるのは叶わぬ夢だろう。苦しいチームの中でも軽いタッチで展開を切り拓くことができる才能は折り紙付き。負傷に苦しんだが、確かに原石であることを示したシーズンだった。

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 終わり!

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