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【11位】フラム
15勝7分16敗/勝ち点52/得点47 失点51

安定中位に潜む懸念
終わってみれば定位置。残留争いには無縁で中位安定のフラムらしいシーズンのまとめ方に落ち着いたなというシーズンだった。
序盤戦はややジャッジに泣かされる試合も多かった分、スロースターター。混戦のプレミアの中でやたらと15位を占有している時期もあった。流れが変わったのは中盤戦でウィルソンがクラッチシューターとしてフィーバーモードに入ったあたりからだろう。
このフィーバーで一気に降格圏を遠ざけると、あとは10位前後を行ったり来たり。安定したシーズンにたどり着いた。
特徴的なスタッツとして挙げられるのはホームとアウェイの戦績の落差だろう。ホームゲームのみのテーブルであればフラムは6位。CL組に準ずる戦績であり、スタジアム・オブ・ライトやセント・ジェームズ・パークよりも多く勝ち点を稼いでいる。一方でアウェイでの勝ち点は降格したウェストハムと同じ17ポイント。ホームの半分しか勝ち点を取れなかった。
ピッチの内容を見ると、オーソドックスな4-2-3-1をベースにしつつ、強豪相手を中心に5-4-1も使い分ける格好。対策を明確に打つことで顔を変えている。良くも悪くもどの相手にもある程度組めることが多いので、安定感は十分。戦力的にも明確に弱いと言えるポジションがなく、戦力のバランスは悪くはない。
ただ、年齢構成まで踏み込んでしまうとやや不安要素はなくもない。全体的にスカッドは30前後の選手が多く、新戦力の突き上げはもう1つという感じ。20代前半の戦力の確保自体は行っているのだけども、結局のところコアになるのはそこよりも上の世代というところ。スミス・ロウを筆頭にボブ、ケビンなど若手の有望株が控えている2列目はともかくとして、それ以外のセクションでは突き上げが薄いのは不安要素でもある。
特に、ヒメネスより下の世代がなかなか殻を破ることができないCFと25歳以下をそもそもスカッドに組み込むことができていないバックラインは新陳代謝の必要性がある状況。まだ今夏の移籍は鈍い状況ではあるが、アルベロア新監督の下でチームのサイクルを進めていくことができるかが注目となるだろう。
Pick up player:アレックス・イウォビ
アーセナルファンとして若い頃から見てきたイウォビももう30歳。入れ替わりの激しい2列目のサポート役として汗をかきながらチャンスを供給する姿はすっかりチームの中心。今年も安定したパフォーマンスで中位進出に貢献していた。
今季の道のり

【12位】ニューカッスル
14勝7分17敗/勝ち点49/得点53 失点55

終盤まで定まらなかった前線
22-23シーズンにCL出場権を久しぶりに獲得して以降、ニューカッスルのリーグ戦の成績推移は交互の法則。CL出場権を得た年は二足の草鞋を履くのに苦戦し、リーグ戦からは上位進出を望めない順位となり、国内一本に専念できるシーズンにおいてはCL出場権を確保する年を続けている。
今年もこのスパイラルからは脱することはできず。CL出場したシーズンの例に沿って中位に沈んでしまったシーズンだった。
CL自体の手応えは悪くなかった。グループステージでもホームゲームではベンフィカ、ビルバオ、PSVにプレミアの強さを見せつけ、アウェイでもパリ・サンジェルマンに勝ち点を確保することに成功した。最後にはド派手に散ったもののバルセロナとの刺し合いは見事だった。
しかしながら、プレミアでは一度も5位以内に入れず。シーズン終盤を待たずして欧州カップ戦への進出は消滅。苦しいシーズンとなった。
要因として指摘したいのは前線のやりくり。特にイサクが去った最前線はなかなか人が定まらずウィサ、ヴォルテマーデ、オスーラ、ゴードンと様々な人員をテスト。多彩な前線の中でハマりきらない新戦力たちは誤算だった。
CFが定まりきらなかった要因の1つは前線からのスピーディなニューカッスルらしい守備の体現ができなかったことだろう。前から追い込んでいくようなアクションを重ねることで相手にプレッシャーをかけるスタイルは鳴りを潜めてしまい、コンパクトな守備から前に出ていくという攻撃の流れを作ることができなかった。
強力な空中戦を武器とするヴォルテマーデなどはそうした中でも攻撃の持ち味を見出してはいたが、守備の機能性の低下とどうしても天秤にかけなければいけない状況ではあった。IHでもいいから使ってみるというのはエディ・ハウなりの抵抗だろう。
結局最後はオスーラに落ち着いたが、CF論争の決着があまりにも遅かった感。リーグ戦での2桁得点者が不在という結末に。ゴードン0トップも含めて全体的には縦に速い攻撃の方がチームには合っていたと思う。
中盤より背後は負傷者に見舞われてしまい、なかなか人員を固定しきれなかった印象。全く出られないシーズンとなった選手はいないのだけども、フルでコミットできた選手はかなり限られている格好。ティアウがいきなりフルコミットできなかったらと想像するとゾッとするシーズンとなった。
ファストブレイク主体でありながら、プレッシングの機能が低下し、他の要素でもその穴を埋められないままシーズンを過ごしたニューカッスル。中盤の再編を迫られる可能性も高く、来季の上位への再チャレンジもタフな展開になりそうだ。
Pick up player:ウィリアム・オスーラ
シェフィールド・ユナイテッド時代はポテンシャルを感じながらもそれだけという雰囲気だったが、ついにシーズン終盤戦で覚醒。この勢いを来季も持ち込めるか注目が集まる。
今季の道のり

【13位】エバートン
13勝10分15敗/勝ち点49/得点47 失点50

チャレンジと粘りの両立
ヒル・ディッキンソン・スタジアムの初年度となったエバートン。新スタジアムの初年度は自分たちの慣れがない分、苦戦するイメージもあるのだけども、エバートンはなんとかまとめ切ったと言っていいだろう。
立ち上がりの仕上がりは早かった。特にハマったのは2列目の面々だろう。シティから借り受けたグリーリッシュは抜群。従来であれば縦に縦にという形になることが多いエバートンの攻撃の中できっちりとタメを作りながらゴールに向かう決定的な動きができる。
逆サイドから飛び込むエンジアイや同サイドのハーフスペースから背後に抜けていくデューズバリー=ホールといった味方との連携も見事。ゲームメイクに関わることが苦手であるCFをカバーできるという意味でもグリーリッシュの存在は絶大だったと言えるだろう。
かと思えばマンチェスター・ユナイテッド戦のように10人で耐える展開を制するケースもあり、ローブロックのまま持ち味を出すような展開も。味方を殴るという退場者を出した理由はなかなかに意味がわからないものだったが、モイーズが鬼門のオールド・トラフォードで勝利を挙げたという意味でも印象的な試合だった。
しかしながら、シーズン中盤にはグリーリッシュは負傷で離脱。稼働率の部分は柱にする上での最大の懸念と言っても良かったので、想定内の爆弾が爆発した格好となった。
だが、グリーリッシュの離脱はサッカーの内容にこそ影響があったものの、ここからエバートンは極端に戦績を落とすことはなし。失点が非常に少なかったわけではないが、セットプレーやベトの覚醒など限られたチャンスをものにしながら競った試合を展開。前半は低調な試合も後半は急に人が変わったように巻き返すなど、競り合いの中で勝ち点を拾い、対戦相手の前に手強いチームとして立ちはだかった。
最終盤は7試合連続勝利なしとやや息切れをした感があったが、グリーリッシュとブランスウェイトという攻守の核を欠きながら一時期は欧州も視野に入る戦いぶりができたのは成果。ある意味では通常のエバートンの立ち位置に戻るシーズンだったとも言える。
新しいスタイルへのチャレンジができた前半とそれが頓挫した後の後半戦の粘りというのも好印象。近年は気にしていた残留争いに巻き込まれなかったのもポジティブにシーズンを締めくくれる要素。まずは新スタジアムの初年度を幸先よく飾ったと言えるだろう。
Pick up player:ジェームズ・ガーナー
やや器用貧乏な印象もあったが、今季は攻守ともに明らかにスケールアップ。SBもこなすことができるマルチ性も武器の一つだ。
今季の道のり

【14位】リーズ
11勝14分13敗/勝ち点47/得点49 失点56

突破口となったシステム変更
サンダーランドと同じく、久しぶりに生還した昇格組となったリーズ。ダニエル・ファルケの下で見事にミッションをコンプリートすることとなった。
序盤戦は非常に苦しんだ。13節を終えて得ることができた勝ち点は11。絶望的な数字ではないけども「これをこうしておけば勝てたな」という試合は少なく、明らかに戦力不足を露呈する試合がとても多かった分、巻き返しのイメージが湧きにくかった。
転機となったのは13節のシティ戦だろう。この試合では敗戦に終わったものの、後半に採用した3-5-2が中盤戦以降のリーズの基本プランに。2点のビハインドを一時期は帳消しにしたエティハドでの手応えを武器に、次節からこのシステムを武器に7試合連続で無敗を達成。この期間の対戦相手がチェルシー、リバプール、ブレントフォード、クリスタル・パレス、サンダーランド、リバプール、マンチェスター・ユナイテッドであったことを踏まえれば上出来だろう。
前線のターゲットであるキャルバート=ルーウィンへのロングボールを主体としつつ、オカフォーやアーロンソンが後方からそれを追い越していくというスタイルで直線的な攻撃を披露。背後を人数をかけて固めつつ、スピーディーな反撃の手段を講じることで、ローブロックから殴り返す方策で勝ち点をもぎ取っていく。
終盤にはボーグルが前線のターゲットとなる謎のオプションが得点につながるなどよくわからない再現性のある形からも得点につながるパターンを見せることも。この辺りのミラクル属性はリーズっぽい。
やや中位勢からは取り残された感がある終盤戦だったが、8試合連続の未勝利で終わってみれば47ポイントで余裕の残留圏フィニッシュ。終わってみれば得失点差はマイナス一桁台とこちらも残留に相応しいスタッツでまとめてみせた。
ハードなスタイルは開幕から見せていたリーズだったが、3-5-2への変身でそのハードなスタイルがようやく勝ち点に結びついた印象。限られたリソースの中でキャルバート=ルーウィンへのロングボールを一番活かす形を見つけたことが今季の彼らの勝利だったと言えるだろう。
Pick up player:ジェームズ・ジャスティン
左右どちらもこなすことができる利便性の高さとアタッキングサードでの攻撃貢献で攻守両面で高い機能性を発揮した。
今季の道のり

【15位】クリスタル・パレス
11勝12分15敗/勝ち点45/得点41 失点51

二足の草鞋の教訓を活かせるか
コミュニティ・シールドではリバプールを撃破するなど開幕前から勢いのいい入りを見せたクリスタル・パレス。その勢いのまま迎えた序盤戦は6試合連続無敗でプレミアの中で敗戦が一番遅いチームとなった。第6節にはリバプールと再び向かい合い、無敗同士の直接対決。97分にエンケティアが決めたゴールは今季のパレスのハイライトの1つだろう。
マテタ、サールなど強力な前線は縦に速いアクションから一気にゴールに迫る馬力を持っており、中盤のウォートンやシャドーのピノなどその手前のセンターラインでパスを出せる選手もいる。ポジトラではサイドの走力を活かす形が素晴らしく、中でも右のムニョスは爆発的な長い距離のフリーランからクロスやシュートで得点を演出するなど、カウンター局面では無双する凄まじさを見せた。
しかしながら、シーズン中盤戦以降は分かりやすく失速。特に12月14日から1月が終わるまでは勝利がなく、およそ2ヶ月ほど3ポイントから遠ざかることもあった。
要因は非常に分かりやすく、欧州のコンペティションを並行する体力がなく、完全にスカッドのバテが来てしまったことだろう。カンファレンスリーグでも容赦なく主力を投入する運用で冬を乗り切れないのはある意味当たり前の話。前線は明らかに個人の消耗が激しいスタイルだったし、ほぼ固定だった5バックの顔ぶれを考えれば、よく年末まで持ったなという見方もできるくらいである。
もちろんスカッドの人数はある程度はいる。しかしながら、クオリティの差は否めないところ。11人であれば強い。しかし交代要員が出てくると一気にスケールダウンしてしまうというスターターとベンチの差に苦しんだシーズンだったと言えるだろう。
グエイが抜けてしまったことも含めて後半戦は綱渡りのシーズンとなった。13位から15位を行き来するなどかなりジリジリとした終盤戦にはなったが、一度も降格圏には近づくこともないままフィニッシュ。カンファレンスリーグの制覇という置き土産まで残したということを踏まえれば、グラスナーのラストシーズンとしてはいい幕引きができたのではないだろうか。
しかし、カンファレンスリーグを制したということは来季も欧州との二足の草鞋は待っている。サージュ新監督は昨季のいかにも分かりやすかった失速を糧に、来季よりもカテゴリーが上がった欧州カップへのチャレンジに挑むこととなる。
Pick up player:鎌田大地
代表戦でも手慣れた様子を見せたミスター・ウェンブリー。怪我に泣かされつつも終盤戦には確固たる中盤の司令塔として序列を明らかに上げることに成功。チームの軸としてチャンスメイクに貢献し続けた。
今季の道のり

