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「もうすぐトニーが帰ってくる」〜勝手にプレミア定点観測 23-24 中間報告編 part3~

Part1,2はこちら。

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目次

【11位】ウォルバーハンプトン

8勝4分8敗/勝ち点28/得点30 失点31

ネトの不在を埋められた理由は?

 23-24シーズンもお馴染みのスロースターターぶりの開幕となったが、ここにきてウルブスは一気に盛り返してきている。プレミアは直近5試合で4勝。それ以前の15試合と同じだけの勝利数をこの5試合で挙げており、この数字だけでも彼らの勢いは感じられる部分だろう。

 今季は特にリーグ全体で冬のパフォーマンス低下を感じるシーズンとなっている。が、ウルブスとこの次に紹介するボーンマスはこの点では別格。むしろエネルギーを増しながらシーズン中盤戦に突入しているといっていいだろう。

 明らかに好調さを見せているのはアタッカー陣。とりわけ、その中心になっているのはファン・ヒチャンである。レンタル期間を含めて、加入してから2年半。この期間でヒチャンはウルブスにコンスタントな貢献を見せている。だが、今季はその中でも凄みを増している。特にゴール前での決定力は異常。ハーフシーズンの時点で二桁ゴールを記録するなど、今季は最終局面で凄みを見せている。

 クーニャ、サラビアといった他の前線も好調を維持。ネトの穴を埋める活躍を見せている。ネトの不在をカバーできた理由の一つはプレッシングの整備だろう。これまでであれば、ロングカウンターという陣地回復とフィニッシュをセットで備えた形でなくてはアタッカーの機動力を生かすことはできなかった。ところが、ハイプレスから手数をかけずにフィニッシュに向かうことで、ネトの行っていた陣地回復の部分がなくなったとしても、ゴールへ向かう手段が担保されているのである。

 この部分で効いているのが中盤。モウチーニョやネベスといった機動力的な観点で言えば重めな選手からジョアン・ゴメスやレミナ、ドイルといった身軽で動きが広い選手に入れ替わることで、前線が高い位置から捕まえに行くプレッシングにも問題なく順応することができている。

 少し気になるのはバックラインの安定感の部分だろうか。セメドやジョゼ・サなど、当たりはずれの波が激しい選手が多く、出来はその日によってかなりばらつきがある印象である。この部分はどう転んでいくか蓋を開けてみないとわからない部分だろう。それでもアイト=ヌーリあたりは安定感が出てきたが。

 いつもであれば、残留争いのボーダーを気にしなくてよくなるには春先まで待つ必要があった。が、今季はもうそんなことは気にしなくていいだろう。見るべきは上。トップハーフでのフィニッシュも見込めるハーフシーズンの折り返しとなった。

Pick up player:ファン・ヒチャン
 この冬の代表活動による離脱の中でも最も影響がありそうな選手の1人。このままの活躍を続ければ、この夏にもう一段上のクラブへの移籍があっても不思議ではないパフォーマンスを見せている。

今季の道のり

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【12位】ボーンマス

7勝4分8敗/勝ち点25/得点28 失点35

新戦力の台頭にコンバートでゴールと勝ち点量産モード

 ウルブスもボーンマス同様に好調の中盤戦を迎えている。直近ではトッテナムに敗れはしたものの、その前まではリーグ戦で4連勝。これ以前の15試合の3勝を上回るペースで勝ち星を重ねている。

 開幕当初は未勝利が続き、首の皮がギリギリでつながっていた状態だったが、フロントの時間を与える判断が奏功。冬になりようやく状態は上向いた。軌道に乗っていた中でのオニール→イラオラのスイッチは衝撃的ではあったが、ウルブスで活躍しているオニールも含めて現状ではこの取引に参加した全員が幸せな持ち場についている。

 何といっても目を見張るのは得点力。この4連勝はすべて複数得点を記録しており、それまでの不発っぷりが嘘のようにゴールを積み上げている。

 ベースとなる4-4-2は特には変わらない。だが、その中身については試合を追うごとにマイナーチェンジを重ねている。直近への大きなテストの1つはSBのワッタラ起用である。シンプルに3-2-5を採用した際の攻撃的なカラーを強調する意味合いもあるが、やや過剰となっている2列目の有効活用というスカッド的な観点でも面白い起用だ。

 当然だが、大外の攻め上がりに関しては全く問題がない。SBとしては規格外といっていいレベルのオーバーラップを大外レーンで見せている。非保持においても想像よりは穴にはなっていない印象。さすがに相手と正対しての守備では少し苦労はしている印象だが、機動力を生かしたカウンターの対応はなかなか様になっている。

 1人後ろに回してもビクともしない2列目の層はさすが。クライファート、タヴァニアはレギュラーとして確固たる地位を築きつつあるし、セメンヨとシニステラも好調をキープ。ビリングやクリスティも対応可能となれば、ワッタラにとっては新しい勝負の場を見つけたことでむしろボーンマスでの活躍の目が再び出てきた格好である。

 中盤ではスコットが進境著しい活躍を見せている。抜擢された初戦では失点のきっかけになるプレーを見せるほろ苦いデビューとなったが、直後の試合からそれを跳ね返すような活躍をつづけている。

中盤でのボールキャリーから、フィニッシュまで攻撃の局面に幅広く顔を出せるのが魅力。ピッチを横断するドリブルで逆サイドに時間を与えたり、ボックス内への飛び込みで得点力を担保したりなど大車輪の活躍を見せている。後半戦におけるプレミアの注目選手の1人と位置付けてもいいだろう。

 既存戦力のコンバート、そして新しい戦力の台頭。今のボーンマスは新しいトライと多くのゴールが共存するプレミアで見ていて楽しいチームの1つである。 

Pick up player:アントワーヌ・セメンヨ
 ヌルヌルとインサイドに入り込みながらのカットインと高精度のミドルを併せ持つ右のWG。格上相手でも一発の魅力があるスケールの大きいアタッカーである。

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【13位】フラム

7勝3分10敗/勝ち点24/得点28 失点35

新エースの確立でおなじみのシステムが機能

 冬のフラムは何といっても第15節、第16節の連続5得点が特大インパクト。その直前にはアンフィールドで3得点を挙げており、この時期のフラムはとにかくイケイケであった。

 さすがにこの期間は若干上振れ感はあるが、基本的には一時期よりも明らかにチームとしての完成度は上がってきているとみていいだろう。マルコ・シウバが不調なチームに何か新しいものを与えたというよりは、これまでのフレームの中で選手個々が要求を満たすような活躍を見せるようになったと考えるのが妥当だろう。

 ミトロビッチが去った後を埋めるエースストライカー問題はラウール・ヒメネスで当面の決着を見ることとなった。なかなかゴールが生まれずに苦しいシーズンになったが、初ゴールから一気にコンディションを上げた印象。ファーサイドに待ち構えてミスマッチを作り、空中戦の優位からゴールを叩き込むスタイルでフラムの新しいフィニッシャーとして立場を確立しつつある。

 また、高い位置からのプレスの制限も少しずつ板についてきた。ミドルプレスの4-4-2とサイドからのクロスに対してのフィニッシュを決めるというのはフラムのスタイルの根幹部分。攻守においてヒメネスがその核になる準備が整いつつある。3試合の出場停止期間の振るわない成績もまた彼の重要度を示しているといえるだろう。

 前方がある程度ボールを誘導できるようになると、中盤から後ろはそれを刈り取る役割を任されることとなる。パリーニャがこの分野で活躍を見せるのは当然のことだが、DFラインではバッシーも躍動。多少、ファウルは覚悟してでも必ず潰し切るスタイルは主審との相性はあるが、高い位置で相手の攻撃を阻害する役には立っている。ポゼッション時のダイナミックなキャリーもビルドアップやトランジッション時の大きな武器となっており、昨季の大黒柱であるリームを完全にベンチに追いやりつつある。

 トランジッションで言えばロビンソンの縦への鋭さも目を引く。ミトロビッチという絶対的な存在はいなくなったが、ヒメネスやイウォビ、ウィリアンといった複数の預けどころに加えて後方からの押し上げ役が出てくる形で圧力を増していくのが今のフラムのスタイル。これがハマれば大量得点につながるのだろう。

 センターラインはしっかりしているし、CBの枚数も充分。パリーニャに何かがない限りはここからの大崩れは考えにくいはずだ。

Pick up player:ラウール・ヒメネス
 ボックス内での存在感だけでなくポストプレーや守備のきっかけ作りなど、あらゆる部分で活躍の幅を広げている。ウルブス時代とはまた違う持ち味を直近では見せている

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【14位】クリスタル・パレス

5勝6分9敗/勝ち点21/得点22 失点29

苦し紛れの新しい武器の着地点

 ついにエゼとオリーズという2枚看板が帰還。強固なブロック守備に彼らのカウンターを掛け合わせた形のいいところ取りで今年も悠々と10位前後でのフィニッシュを狙うというのがホジソンの青写真だったはずだ。

 しかしながら、その青写真は実現せず。直近の試合ではなんとか勝利をおさめたものの、チームは長い未勝利の沼に苦しむ時期を過ごすこととなった。

 オリーズの復帰により、チームが攻撃のシャープさを取り戻したのは確かではある。エゼもマテタと組み合わせれば破壊力のあるボックス内への侵入は十分に見せることはできる。

 しかしながら、強固なブロック守備という前提が怪しいのが今のパレス。アイェウ、エドゥアール、シュラップというセットと比べると、今のセットは前線からボールを制限しながらボールを追い込んでいくのがそこまでうまくはない。

 加えて中盤ではドゥクレがシーズン絶望級の離脱。ロングカウンターとセットで欲しいはずの強固なブロック守備という柱は崩れつつある。

 もっとも、良化の兆しがないわけでない。ドゥクレの代役として中盤に抜擢されたリチャーズのパフォーマンスは上々。バックラインを埋めつつ、中盤の広範囲をカバーできる守備を見せており、ドゥクレの傷口を最小限にとどめてくれるのではないかという期待が持てるパフォーマンスである。

 さらにホジソンは抜本的なシステムの見直しにも着手。2節前のチェルシー戦からはなんと前線からボールを追い掛け回すハイプレスを解禁し、見ている側を驚かせた。続くブレントフォード戦でも同じようなプランを施行したことからも、長いトンネルを脱出するためのなりふり構わないホジソンの大ナタといっていいプラン変更だった。

 チェルシー戦では結果を出すことはできなかったが、終盤まで相手に勝ち越しゴールを許さなかったし、ブレントフォード戦ではついに久しぶりの勝利を手にした。チェルシー戦での機能性は正直微妙だったが、ブレントフォード戦では明らかにアップテンポの展開の中からの押し切りに成功しており、これまでのパレスと比較しても新機軸を見出したといってもいいだろう。

 もちろん、前線では頼れる選手がいるチーム。ボールを奪い取る手段冴え確立すればスタイル的には全く問題はない。苦し紛れに発明されたハイプレスの行く末がどこになるのかがこの冬のパレスの注目点になるだろう。

Pick up player:ミカエル・オリーズ
 出遅れのせいでフルシーズンでのレギュラーは今季も達成できなかったが、瞬間的な切れ味はすでにビッグクラブの目線をひくのに十分すぎるだろう。

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【15位】ノッティンガム・フォレスト

5勝5分10敗/勝ち点20/得点24 失点35

ギブス=ホワイトの新相棒の台頭でホットラインが復活

 パレスと同じくこちらも長いトンネルで苦しむこととなったフォレスト。パレスとの違いは功労者であるクーパーを解任し、新監督を招聘して新しいスタートを切る決断をしたことである。

 この判断は今のところいい方向に傾いているといっていいだろう。就任直後の2試合は連敗したが、その後のニューカッスル、マンチェスター・ユナイテッドとの難敵は連勝。この2試合においては速い展開において強度の違いを見せての勝利となっており、特にニューカッスル相手にはアウェイでお株を奪う形での3ポイント。なかなかのインパクトのある初勝利となった。

 うまくいっていない時期は得点源のアウォニィの不在の影響が大きく、ムリージョという新しい柱を据えたバックラインもそうした状況で相手を完封できるほどの強度がないという苦しい状況だった。

 そういう意味ではアウォニィ抜きでの攻撃の再構築が復活のための大きな論点だったといえる。そのためにはエースであるギブス=ホワイトがライン間で前を向いたときに、抜け出すことができる相棒が必要である。いわゆるジョンソンがかつて担っていた役割である。

 この役割においてエランガが存在感をメキメキ発揮するようになった。ハイラインであればあるほど生き生きと裏抜けするエランガにより、前を向いたギブス=ホワイトの破壊力はさらに向上。チャンスメイクのパターンとして確立できたことにより、得点の機会が増えることとなった。

 フィニッシュの局面ではクリス・ウッドがこの局面で覚醒。セント・ジェームズ・パークでまさかのハットトリックを達成するなど、古巣相手に恩返しのオーバーキルを披露するなどアウォニィ不在の影響をなんとかカバーしている。

 中盤ではサンガレ、ドミンゲスといった面々が淡々と自らの仕事に注力。強度が高い展開でも簡単に負けない骨格としてチームを支えている。

 新監督の下でまずは得点パターンの確立に成功したフォレスト。戦力的には使いべりしていなさそうなのはヌーノにとっては好材料なはず。まずは降格を気にしなくていい領域まで一気に駆け上がりたいところだ。

Pick up player:モーガン・ギブス=ホワイト
 ターナーのミスを完全にカバーするユナイテッド戦のスーパーゴールはめっちゃしびれた。

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 つづく!

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