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「もうすぐトニーが帰ってくる」〜勝手にプレミア定点観測 23-24 中間報告編 part4~

 Part1~3はこちら。

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目次

【16位】ブレントフォード

5勝4分10敗/勝ち点19/得点26 失点31

もちろん切り札はあの男

 手を変え品を変え、何とか競争力を保ってきたブレントフォードだが、冬のタイミングで完全に限界を迎えてしまった感がある。きっかけになったのはムベウモの負傷離脱。開幕から陣地回復、チャンスメイク、そしてフィニッシャーと八面六臂の活躍をほとんどフル稼働で続けてきたエースの怪我でブレントフォードの勝ち点の積み上げはストップしてしまった。 

 もっとも、個人的には今まで何とかなっていたのが不思議なくらいである。それだけムベウモの貢献度が高かったということだ。ボールを収め、サイドに流れ、クロスを上げて、時にはフィニッシュもやる。ウィサを相棒にブレントフォードの攻撃をほぼ一手に引き受けていた。

 代わりに出番を貰っているルイス-ポッターは悪くない出来ではあるが、攻撃に影響を与える局面はムベウモに比べると明らかに限定的。もちろん、これはルイス-ポッターが悪いのではなく、それだけムベウモに攻撃を依存していたことの裏返しでもある。

 前線だけでなくWBもしくはSBも壊滅気味。ヒッキーとヘンリーの負傷により、ゴドスとローアスリウのどちらかに何かがあればジャネルトを中盤にコンバートするしかない。レギロンの緊急補強は至極真っ当で、加入してすぐにたくさん試合に出てもらうことになるだろう。

 強度の高いプレスと奪ってからサイドに展開して、ボックス内にクロスを上げるスキームは現状のブレントフォードにおいては完成度が明らかに低くなってしまった。クロスを上げる方も合わせる方も人が足りていないのだから仕方ない。要塞と化していたホームスタジアムですら、簡単に勝ち点を与える状況が続いている。今現在の状況で言えば20チームの中でも最も苦しいといえるかもしれない。

 もっとも、希望がないわけではない。こうした状況を一発で変える可能性を秘めたゲームチェンジャーが次節からブレントフォードに復帰する。スポーツベッティングによって出場停止処分を食らっていたトニーはついにこの週末から処分解除。こうした状況を作り出した元凶でもあるのだが、それでも彼に頼るほかないだろう。もうステップアップの話をしているのには正直びっくりしているのだが、獲得が噂されているアーセナルのファンとしてもまずはきっちりブレントフォードに恩を返すことに注力してほしいと勝手ながら思っている。

Pick up player:イヴァン・トニー
 もうこっから馬車馬のように働いてください。

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【17位】エバートン

8勝2分10敗/勝ち点16/得点24 失点28

中盤のダイナミズムを生かしたスタイルと目覚めないエース 

 FFP違反からの勝ち点減をついに目の当たりにすることになったプレミアリーグファン。シティのせいで調査には時間がかかるという先入観があったため、さっと結果を出してあっさりと勝ち点を奪われていくエバートンの姿はなかなかに衝撃的なものだった。

 もっとも、処分直後はそうした逆境をばねにチームは奮起。マンチェスター・シティが相手だろうが、勇猛果敢に前からのプレスに行く形で主導権を握り、相手を飲み込む勢いで12月は4連勝を達成し、降格圏からはだいぶ遠ざかる状況を作り出すことに成功した。

 しかしながら、そこからは一転して連敗がスタート。トッテナム、シティと続く連戦はまだよかった。連勝時に続いていた果敢なプレスからチャンスを作るところまではできていたし、特にトッテナム戦はあと一歩で勝ち点を奪い取れるところまで追いつめるなどかなり可能性を感じる内容だった。

 だが、その直後のウルブス戦はなかなかに凄惨な内容だった。ドゥクレがいないのであれば、3センターは無理という結論になったのか、5バックを敷きつつもハイラインの継続を選択する。プレスの重心は高いものの、前プレ隊は少なくなったというエバートンに対して、ウルブスは背後を狙う動きを連打。5バックにも関わらず、ハーフスペースの裏抜けから山のようにチャンスを作り出し、あまりにも多くの決定機を生みだした。正直、3失点で収まったのは驚きである。続くアストンビラ戦ではスコアレスドローと流れとなんとか食い止めたが、現状は勝利がなく停滞感がある状況だ。

 ボールを奪い、そこから縦に速く攻め込むというスキーム自体はそこまで問題があるわけではない。特にドゥクレがいればシャープにこのモデルを遂行することができている。

 問題はフィニッシャー。今季のキャルバート=ルーウィンはとにかくゴールが決まらない。いくらオープンな状況を作っても、1on1になってもGKに阻まれたり、枠にシュートが決まらなかったりなど踏んだり蹴ったり。アストンビラ戦ではマルティネスと1on1のチャンスを迎えてなおあまり入る予感がしなかった(そして実際入らなかった)のだから重症である。

 CFとしては同じくベトも精度で勝負するタイプではないのが苦しい。だからこそ、ダイチは辛抱強くキャルバート=ルーウィンの奮起を待っているのだろう。マクニール、ハリソン、マイコレンコ、ドゥクレ、オナナなど中盤やサイドからボックス内になだれ込むことができる選手はいる。押し込む状況を作ることができれば、こういった選手のエリア内での飛び込みは目立つようになる。

 だが、先に挙げたシティやトッテナムを倒すにはやはり直線的なロングカウンターを得点につなげないと厳しいだろう。またしても処分の可能性があることを踏まえると、どんな相手でもしたたかにチャンスを決め切る必要があり、そういった点でキャルバート=ルーウィンの復活は必要不可欠だ。

Pick up player:アンドレ・ゴメス
 パワー系アスリート勢揃いのエバートンの中盤で異彩を放つテクニシャン。久しぶりの出番となったトッテナム戦ではスーパーゴールもさることながら、内容の面でもアクセントとなる働きをマークした。

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【18位】ルートン・タウン

4勝3分12敗/勝ち点15/得点23 失点37

好調キープの主軸の増加で逆転残留も視野に 

 ボーダーまでの勝ち点はわずかに1。序盤戦ではもう決まり感があった残留争いはここにきて再燃の様相を示している。

 その昇格組勢の中で一番前を走るのがルートン。12月には初めてのリーグ戦連勝を飾るなどでしぶとく勝ち点を拾っている。

 ルートンが勝ち点を重ねられるようになったのは10月の定点観測で挙げたキーマン2人の躍動が大きな要素となっている。バークリーは中盤の柱として君臨。縦に入ってきたボールを潰し、そこから司令塔としてボールを展開する役割でまさしくルートンの攻撃を司る存在となっている。

 相手のプレスを受けている状況からの外しての縦パスや、ボールを奪った直後の縦パスなど一本のパスで試合の景色を変えることができる能力を持っているのはルートンでは彼一人。10月のリバプール戦をきっかけに開花した好調さを維持し、ルートンを牽引し続けている。

 GKのカミンスキの躍動も見逃せない。ここ数年下位勢にはなかなか縁がなかった素晴らしいストッパーとして覚醒。どれだけシュートを浴びても屈さずにタフなセーブを続ける姿はまさしく勝ち点を取ることができるGKである。

 そのほかにも各ポジションに好調な選手は散見される。アデバヨは今のプレミアではもっとも熱い「放り込んでおけばなんとかしてくれる」系FWであり、マークを外すことなどせずに相手を潰すような形でひたすらクロスに合わせ続ける。

 両サイドのWBも強力な武器だ。正対したところからの突破力とクロス精度を併せ持つダウティーと上下動を繰り返しつつ、最終局面まで顔を出せるカボレはキャラが立っている名コンビである。

 結果的に負ける試合は少なくはないが、割と強豪相手でも競った得点の取り合いになるのがこのチームの特徴。舞台がケニルワース・ロードであればさらに拍車がかかる。

 ニューカッスルを強度で打ち負かしたのは今シーズンのハイライトになるだろう。自分たちのスタイルを迷わず貫き続けば、残留という結果はおのずとついてくることになるはず。タフな状況をひっくり返そうとしているロッキャーのように、全員がハードにコミットすればどんな相手でも飲み込むポテンシャルはあるチームだ。

Pick up player:アルベール・サンビ・ロコンガ
 プレス回避での軽やかなプレーが徐々にみられるようになっており、ほんのりと調子は上向き。このまま羽ばたく後半戦にしてほしいところだが。

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【19位】バーンリー

3勝2分15敗/勝ち点11/得点20 失点41

ビルドアップの整理とSHの躍動で兆しは見えた

 ルートンと同じく、こちらもスタイルを貫くことで道が見えてきたチーム。バックラインからのビルドアップに枚数をかけすぎてしまい、プレスを引き込んだ結果、ホルダーに余裕がなくなって相手に押しつぶされてしまうという悪循環から完全に悪い流れに入り込んでしまった。

 この流れが改善したことでバーンリーには光が見えるように。ビルドアップは過度に後ろに重心を重くするのではなく、人数を適正化。フィールドの4~5人が流動的にビルドアップに参加したりやめたりを繰り返すことで、相手のプレスをもろに受けるケースは減った。

 さらにはGKのトラフォードから縦パスを差し込むことで一気に前進するいわゆる疑似カウンターパターンも。ようやくコンパニの目指していた保持を基調としたスタイルの完成図が見えてきた。すっかりバーンリーはポゼッションチームの顔を持てるチームになったといえるだろう。

 アタッキングサードにおいては攻撃を一手に引き受けていたコレオショが離脱。これが致命傷になるかと思いきや、代わりに入ったオドベールが1on1で猛威を振るうなどポテンシャルを存分に発揮。SHは彼以外にもトレゾール、ラーセン、グズムンドソンなど豊富。前線のフォスターとアムドゥニも含めて中盤より前のユニットは好調な選手で固まってきた。

 ただ、それでも残留までの道は大変なものになるというのは変わりない。やはり、押し込まれてしまうと圧倒的に苦しいので、その部分をどのように減らしていくかが争点になるだろう。前線にいい形で渡れば、そこからゴールを生み出す力は十分にある。ボールを持つ時間をどのレベルの相手まで作ることができるかで残留に手が届くかが決まりそうだ。

Pick up player:ウィルソン・オドベール
 19歳にしてあっさりとプレミアで通用してしまうポテンシャルを見せたのは恐ろしい。後半戦の活躍次第では争奪戦になってもおかしくないだろう。

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【20位】シェフィールド・ユナイテッド

2勝3分15敗/勝ち点9/得点15 失点49

グレートエスケープには救世主が必要 

 ビラ・パークでの連勝ストッパーとして一躍脚光を浴びたブレイズ。あの試合の内容はよかったのは確かだが、勝ち切ることができる試合は明らかに少なく、ほかの2チームの昇格組に比べても苦しい戦いを強いられている。ここまでの勝ち点はわずかに9。得点数も失点数もリーグワーストであり、スタッツ的にも文句なしの最下位である。

 やはり苦しいのはルートンとバーンリーに比べても明らかに自分たちの形を持っていないことだろう。それであれば、非保持でブロック守備を組みながら踏ん張ることが必要になるが、バックスの強度もほかのチームに対して上回れるわけではないため、押し込まれやすく、そのまま叩き割られやすいというシンプルかつ致命的な弱みを抱えている。

 正直選手層的にどこまで上向くかは微妙なところではあるが、ヘッキングボトムの解任は避けられなかったように思う。解任直前のチームは簡単なボールにも競りかけられなかったり、ボールホルダーを厳しく追いかける意思が見えなかったりなど、スタイル云々以前にサッカーの原則的な部分を忠実に遂行できる状態ではなかった。おそらく求心力を失っていたのだろう。

 そういった部分はワイルダーの再任によって多少引き締まったように見える。それでもボックス内での守備は不安だらけ。例えば、シティ相手に負けることは仕方ないにしても、GKを含めたミスの連鎖でニアサイドを簡単に破られてしまうのはやはりチームの士気に影響するだろう。負けるにしてももう少し粘り腰が欲しいところである。ワイルダーはなにか特別なものを授けてくれる監督ではないので、当たり前のことを当たり前にやることは徹底する必要がある。

 ルートンとのシックスポインターに敗れてしまったのは正直かなり決定打になった感がある。オウンゴール2発での逆転負けという内容も悲哀を感じてしまう。ここからグレートエスケープを実現するにはとにかく勝つこと。そのためには点を取る必要がある。好調のアーチャー、マクバーニーに加えてビジャレアルからやってきたブレレトン・ディアスといったストライカーに合わせた得点パターンの整備は急務。強欲な3ポイントを引き寄せる手段をつくれるかどうか。

Pick up player:ベン・ブレアトン・ディアス
 かつてブラックバーンに所属していたチリ代表ストライカー。まさしく奇跡を起こすことを託されたレンタル移籍。ヒーローになれるかどうか。

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