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「48チームはとても多い」~FIFA World Cup 2026 全チーム総括 part1~

 ようやく日程に余裕が出てきたのでこういうことができます!よろしゅう!

目次

【A組3位】韓国

台無しにしてしまった最終節

 やっちまった!!高地のメキシコ行きというのは確かに事前に懸念されていた中ではあるが、アジアの中でも戦力的に見れば楽な組と目されていたし、実際のところ楽な組だったと評して問題ない実力のグループだったと思う。

 入りはそこまで悪くはなかった。チェコの高さを封殺し、インボムの機動力を生かしてDFラインをかき乱して逆転勝ちに成功。劣勢をひっくり返すことに成功する。

 次のメキシコ戦も敗れたとはいえ、フィーリングは悪くなかった。ミラー気味に噛み合わせてくる相手に対して、左サイドの変形で外すアクションから前線の裏抜けで仕上げるという方向性も理にかなっている。確かにメキシコを高い位置からのプレスで咎めることはできなかったが、グループステージの突破の可否で求めるレベルはそこにはないだろう。

 やはり明らかに問題だったのは南アフリカ戦だろう。状態が悪いのは仕方ないとして、そうしたコンディションが悪い自分たちと向き合えていなかったのが辛いところ。無理目な体勢から簡単にパスで相手にボールをプレゼント。ワンタッチで勝負をしなければいけない状況にプレスで追い込まれていたというのならば、まだ情状酌量の余地はあるけども、プレスに後ろ向きな南アフリカは特にそうした強引な振る舞いは皆無。ただただ、相手にボールを渡していただけと表現して差し支えないだろう。

 後方では初めの2試合では頼りがいのあるパフォーマンスを見せていたミンジェが大不振。無駄なタックルで入れ替わられるシーンを引き起こし続け、カウンター時の守備の傷口を広げた。

 どうにもならなかった時に前線にターゲットを置いておくことができれば・・・というのも悔やまれるところ。ソン・フンミンの1トップは後方でズレを作ってフリーマンから前に差し込むところまで持っていくことができれば機能しそうではあったが、南アフリカ戦のようなタフな展開での命綱にはならず、イ・ガンインのフリーマンも同様だった。

 結局は南アフリカ戦の強烈な逆噴射が敗退の決め手になってしまったということになるだろう。あとから試合をするチームに3位チームの通過目安としてターゲットにされたことは気の毒ではあったが、引き分けでOKの状況で迎えた南アフリカ戦でのパフォーマンスを見ると、気の毒というよりは順当な敗退と評する方が妥当だろう。

Pick up player:ファン・インボム
 チェコ戦での得点に関与する活躍はこの大会で韓国の国民が一番沸いた瞬間だったはず。それだけに3試合目のパフォーマンスが悔やまれる内容だった。

ここまでの道のり

【A組4位】チェコ

勝負できる局面が迷子に

 プレーオフではデンマークとの死闘を制して本大会の切符を手にしたチェコ。組み分け的には比較的恵まれているグループAに入ることができたが、グループステージで姿を消すこととなった。

 気になったのはトレードマークであるタワー型のスタイルが攻守ともに機能しなかったことだろう。第2節の南アフリカ戦でのロングスロー攻勢からのフロジェクのゴールはかろうじて力技を生かしたパターンと言えるかもしれないが、それ以外の状況では持ち味を出すことができず。

 韓国戦ではシックがキム・ミンジェに完封されてしまい沈黙。メキシコ戦ではそもそもロングボールにトライできるような陣容は捨ててしまった感じがある。

 さらに輪をかけて困ったのはリードをしている展開でも高さを生かした守備が機能しなかったこと。南アフリカ戦と韓国戦の2試合ではリードしている局面を経験しながら追いつかれる結末に。それも80分以降の失点が頻発しており、まずは自陣を固めるというところが機能しなかった。

 かといって前から出ていくプレスもできず。韓国戦ではミラーフォーメーションを生かしたマンツーでの勝負を仕掛けていくが、人についていくのを諦めるのが早く、あまりにも降りるアクションに対して脆かった。そういう状況では当然スペイン相手にプレッシングが通用するわけもなく、大逆転での突破の可能性は早々に潰えてしまった。

 総じて、この局面であれば勝負できる!というポイントを作ることができないまま沈んでいってしまった感が強く、Round32レベルにはなかったかなという感想。持ち味をここ!と定めるところからチーム作りを始めなければ、欧州予選の突破すらハードになってしまうだろう。

Pick up player:ラディスラフ・クレイチー
 クラブ同様に苦しい状況での3バックの一員としてバックラインを支える。韓国戦のゴールも含めて苦しいチームの中では奮闘した方だったか。

ここまでの道のり

【B組4位】カタール

脱・アジアカップ番長は失敗に

 前回の開催国はアジアカップ連覇という実績を引っ提げて自国開催ではない初めてのワールドカップに見参。3連敗という結末に終わった前回大会のリベンジに燃える大会となった。

 スイス戦は奇跡のような結果だったといえるだろう。終始押し込まれて、かつボックス内での対応も後手。ひたすらに殴られながらもなんとか1失点で耐えきったご褒美が最後の最後に舞い降りてきたというような試合。今大会では一番「これで勝ち点取れるのか!」という内容だったかもしれない。

 すべてが壊れてしまったのはカナダ戦だろう。押し込まれ続ける中でのセットプレーで失点をした挙句、2人の退場者を出してしまい、ゲームとしての形を保つことができない状態に。コネが負傷した結果(早く治りますように)を重要視したというプロセスが疑問のマディボの退場はともかく、ブキャナンにちぎられてしまった11人→10人の退場は言い訳の余地なし。引いて受けて失点して抜け出されるというのは割とすべてをやらかしてしまった感がある。

 3試合目のボスニア・ヘルツェゴビナとのW杯初勝利と3位通過の権利をかけた試合はアライベコヴィッチをはじめとするボスニア・ヘルツェゴビナのアタッカーのスピードに振り切られてしまい苦戦。プレスに出ていくアクションも枚数調整で外されてしまうなど、終始劣勢のまま敗れてしまった。

 これまでのチーム同様にアフィーフがスピードに乗ることができれば強いチームなのだろう。しかしながら、プレス回避にアフィーフが下りてこなくてはいけないなど、組み立ての段階で彼のスキルを頼ることも少なくなかったことも確か。アフィーフをめがけてゴールから逆算して組み立てるほどの余裕がなかったことは素直に痛い。

 非保持では引いて受けるアクションはするのだけども、サイドでは後手に回り、ボックス内の対応も脆弱。正確に彼に届けることができるのか?というところも含めてアフィーフへのロングカウンターだけでは収支が合わない状況を最後まで変えることができず。アジアカップ番長の印象を上書きすることはできなかった。

Pick up player:アクラム・アフィーフ
 なんだかんだアフィーフだし、アフィーフ側もなんだかんだ期待に応えてくれる。

ここまでの道のり

【C組3位】スコットランド

希望と後悔を残すワールドカップ

 近代化したイングランドがおいていったキックアンドラッシュの魂を受け継いでいる感のあるスコットランド。スタンドでワインを飲むベッカムが眺める先のピッチで、過密日程になればなるほど輝くマッギンが一生懸命汗をかいているという構図は今大会でも屈指の風刺画にそのままできそうな場面であった。

 ピッチの上では勢いよくサイドを駆け上がっていったところからのクロスでボックス内への爆撃を繰り返す形。主戦FWはターゲット型ではないアダムスではあるが、ボックスへの突撃で存在感を高めていくようなキャリアを歩んでいるマクトミネイがこの形の攻撃の本命だろう。クロスが上がった時の何かを起こしてくれそう感は代表チームでも健在であった。

 ハイチ戦で存在感を放ったのはギャノン=ドーク。セルティック経由でリバプールでのキャリアも経験したこの若武者は右サイドでのスピードスターとして対面のSBを文字通りズタズタに。絞るSHの外からSBが上がってくるという従来のスコットランドの攻め方を覆す可能性を見せた。

 モロッコ戦、ブラジル戦ではさすがにハイチ相手ほどの輝きを見せることは難しかったが、スコットランドのスタイル的にはWGが仕掛けられるかどうかは大違い。新しい可能性を見せたことは評価したい。

 チームとして残念だったのはあまりにも簡単なミスが多かったことだろう。基本的には人海戦術をベースに0-0の時間を長くというのが根底にあるスタイルなので、枚数の揃っているDFラインがライン設定をミスして早々に失点を献上するようなモロッコ戦の振る舞いはさすがに許容できないところ。

 ブラジル戦でも相手が明らかな省エネモードの中で、瞬間的なプレスのギアアップについていけずに失点。緩い相手のペースに付き合ったせいで、いざ牙を剥かれた時に致命傷を負うことになってしまった。

 力関係で不利なチームは引いて受けてという時間が長くなるのは仕方のないこと。そのうえで相手に上回られてしまうのも仕方がない。今の時代はボールを持てないチームには厳しい。

 だけども、自分で崩れてしまうのは話が別。負けるにしてもこのルート?というのを残してしまうと、複雑な思いを残してしまうのが辛いところでもある。突破力のWGがもたらした可能性とこの負け方か・・・という後悔を両方残した大会だった。

Pick up player:ベン・ギャノン=ドーク
 俺はめっちゃガノンドロフに聞こえた。でも、ガノンドロフはこんなに速く動けない。

ここまでの道のり

【C組4位】ハイチ

いい経験のその先に進むには

 ローブロックを固めるチームが格上の相手に勝ち点をもぎ取る(ただし、引き分けどまり)というのは、この大会のグループステージで何回か見た光景ではある。しかしながら、ハイチはうまくこのトレンドに乗れなかった感。3試合で合計8つの失点を記録し、あっさりと敗退することになった。

 スコットランド戦がすべてということになってしまうだろう。事実上、このグループの3番手を決める試合だとわかっていた中で、伝統国に格の違いを見せつけられてしまった格好。引いて受ける中で耐えきれず、ゴールを破られてしまい、敗北を喫する。

 この時点で窮地に陥ったハイチ。ブラジル相手には5-4-1で入るも叩き割られてしまい、前半だけで3失点。得失点差も考えればこの時点ですでに突破は厳しいものとなった。やけくそで放った4-4-2は降りるブラジルの前線にハイチのCBがついていくのを躊躇させるきっかけに。失点は避けることができていたが、前がかりな姿勢が機能していたかは微妙なところ。

 続くモロッコ戦では試合開始とともに片道切符でのプレスを披露。命を燃やしながら敗退初ゴールと初勝ち点をめがけて戦ってみせた。

 その甲斐もあり、早々に先制点をゲット。一度追いつかれても再びゴールを確保し、前半は意地を見せた。

 後半の失点にセルフジャッジによる気が抜けていたようなシーンが挟まれていたことは悔やまれるところ。それでもハイプレスに行くトライ自体は見ごたえがあるものではあった。

 ただ、現実的にグループステージを突破しに行くとなると、窮鼠猫を噛むといった様相の第3節以外の普段着で何とか3ポイントを取りに行ける設計図が欲しいところ。それができないと仮に3位に入ったとしても突破は難しいだろう。

 今大会はいい経験ができたことは間違いない。ポット3の相手と組み合えるスタイルを身に着けることが次のステップになるだろう。

Pick up player:ウィルソン・イシドール
 こんなところにこんなプレミアリーガーが!となる現象が結構好きなのだけども、今大会のイシドールはまさにそんな感じ。次点がウィサ。

ここまでの道のり

【D組4位】トルコ

4位最強チームの敗因は?

 グループ4位のチームを12個見渡した時におそらく一番力があるだろうチームなのはトルコなのではないかなと思う。特に個人個人のできることのクオリティでいえば、Round32のチームには明らかに引けを取らないレベルだと思う。

 それなのに敗退してしまった理由は個人的には大きく分けて2つ。1つ目は個人個人のうまさを味方に分配するのがあまりうまくないことである。トルコの前線はスピードが豊かで、目の前の人を剥がす力もある。けども、1人が剥がせたところにほかの選手が絡んでくるシーンが非常に少ない。

 人がいて、守れているはずのところを剥がすということの価値はサッカーにおいては非常に高く、一番重要といってもいいスキル。それなのに、1人ズレたことを活用できず、結局はドリブルをする選手が最後まできっちりとやり切ってくださいね!ということが求められているかのようなチームコンセプトだった。

 それでもグループステージであれば、連携面でのプラスが少なくてもなんとかなりそうではあった。誤算だったのはミドルシュートが仕留めきれなかったこと。オープンな状況でも枠に飛ばないなど、多く数を打ってもこじ開けるきっかけにならなかったのはもったいなかった。

 もう1つの難点は守備のところだろう。前からの守備に行く意欲があるのはいいのだけども、ホルダーに対してある程度の距離まで詰めるともう一歩の寄せをサボる傾向にあった。これが2つ目の敗退の要因と個人的には考えている。レビューの図でいえばハマっているような状況でも、実際のホルダーとの距離は遠く、フリーで逃げられるケースが多かった。

 一番典型的なのはあっさりと脱出を許してしまったオーストラリア戦の先制点のところだろう。前からのプレスに行く意欲は見せていたが、誰一人として決定的にホルダーを捕まえる様子はなく、背後を取られてしまい、ゴールを陥れられるところまであっという間にたどり着いてしまった。

 バックスの緩さが伝統的になってしまっているのは気がかりなのだけども、前方のタレントが豊かになっている分、高い位置からのプレスやアタッキングサードでの連携の整備ができればまだまだ伸びしろはあるチーム。次の再チャレンジが今回のように間を空けたものではないことを祈りたい。

Pick up player:アルダ・ギュレル
 誰よりも多くチャンスを作り、なかなか仕留められず、前からの守備も空転してしまいいろんな意味でトルコの象徴となった。アメリカ戦でようやく手にしたゴールが次につながることを期待したい。

ここまでの道のり

【E組4位】キュラソー

ローブロック以外の手段が光る大健闘

 W杯の初出場として夢舞台を踏むことができたキュラソー。門番役として立ちはだかったドイツに大敗をしても「負けなんて関係ない!あのドイツ相手に1点を取ったことは勝利!」と顔を輝かせている国民の様子が印象的だった。

 しかしながら、彼らは第2節にエクアドル相手に勝ち点をもぎ取ることに成功。歴史に名を刻む1ポイントを手にする。第3節のコートジボワール戦では力負けをしてしまったが、最終節まで突破の可能性を残したことはまず重要であった。

 第2節で重要だったのはもちろんエネル・バレンシアの決定力不足でもあるのだけども、ローブロックで構える以外の武器を彼らが持っていたからだろう。エクアドル戦でアクセントとなっていたのはハイプレスの起動。可変フォーメーションで基準点ずらしから押し込む流れを作っていたエクアドルに対して、ハイプレスから捕まえに行くところからもう1回流れをかき乱しに行くことができる地力を見せた。

 サイドアタッカーを多く投入してきたエクアドルに対して終盤押し込まれる展開もあったが、決壊せずに踏ん張ることができた。おそらくはこのスタンスでずっと進んでしまえば耐えるのは難しかったはず。高い位置に出ていくことができた時間が重要だったし、左サイドのジュニーニョ・バクーニャからのキャリーでの陣地回復も重要だったといえるだろう。

 欲を言うのであればコートジボワール戦でもその姿勢を起動できれば面白かったところではある。一方的に殴られ続けてしまい、かつ抜け出しがシュートに直結してしまうようなラインの乱され方を早々にしてしまったというのはこの立ち位置のチームとしては反省が残る部分だといえるだろう。

 48か国への拡大に加えて、今回は北中米の強豪が軒並み予選免除されたという背景は無視できず、この舞台に帰ってくることは容易ではないだろう。それでも目を輝かせてドイツ相手のゴールを喜んでいた彼らがまたこの舞台を楽しめる日が来るように心から願っている。

Pick up player:ジュニーニョ・バクーニャ
 中盤を務めた兄と共にチームを牽引。左サイドからの突撃はチームの前進の支えとなっていた。

ここまでの道のり

【F組4位】チュニジア

やらないに越したことはない

 W杯名物の内紛。代表的なチームは2つ浮かぶだろうが、こちらは協会のハチャメチャな舵取りが大火事になったケースである。

 そもそも、この大会の1試合目を指揮したラムーシ監督は2026年1月のAFCONの成績不振を経て就任したという経緯がある。その監督を大会途中に更迭。ラムーシは3月の代表ウィークはギリギリ経験できたが、その監督までクビにしてしまうとなると、ハリルホジッチの後に引っ張ってきた西野朗もクビにしたようなものだろう。

 やたらと日本のサッカーファンは解任ブーストを恐れる傾向にあると思うのだけども、基本的にはうまくいっていないチームがやることでしかないのが本大会中での解任。「やらないで済むに越したことがないことをわざわざやらないとどうにもならないチーム」であることは間違いなかった。

 ルナールを引っ張ってきたこと自体はもちろん人選としては悪くなかったけども、W杯の年にそもそも2回監督を代えたうえでぶっつけ本番で試合に臨むということ自体がダメなのだから、多少人選がいい程度の引きではリカバリーすることができないのは当然だろう。

 選手自身のコメントにもあるように「こんなやり方で結果が出るわけがない」というのが正直なところだろう。せめて0-0で試合が持ってくれればという感じではあったものの、オランダ戦でも日本戦でもあっという間にスコアを動かされてしまい、耐える展開は望むべくもない。

 ハンニバルが前を向くことができれば多少形になりそうな匂いはしなくもなかったけども、そうした状況を相手の攻撃をかわしながら継続して作っていくのはそれこそ無理な話。即興チームらしい完成度でグループステージに挑んでしまったことは明らかであった。

 ルナールもいなくなってしまったので文字通り代表チームは仕切り直し。タレント的には見るべきものがある国だけに悔いが残る大会になっただろう。

Pick up player:ハンニバル・メイブリ
 自由を与えれば怖いのは確かなのだけども、それどころではなくなったしまった感。

ここまでの道のり

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