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「48チームはとても多い」~FIFA World Cup 2026 全チーム総括 part2~

第一弾はこちら。

目次

【G組3位】イラン

振り回された”第33位”

 端的に言えば、今大会の中で一番多くのものに振り回されたチームだったと言えるだろう。一番大きなものは政治的な要因での移動の制限。アメリカで行われる試合は事前に入国することが認められておらず、試合が終わったらすぐにベースキャンプに退去しなければいけないという扱いは、少なくともコンペティションにおいて不利を被ることは明らかであり、外的なものによって本来受けるべき扱いを受けられなかった。

 もう1つ、彼らが振り回されたのは3位通過のレギュレーション。メッシそっちのけで全世界が注目していたオーストリア×アルジェリアにおける第3の当事者が彼ら。アルジェリアが3点目を取ってからオーストリアが3点目を奪い返すという物語の顛末を彼らとその国民はどのように見ていたのだろうか。結果的には”第33位”で終わることとなってしまった。

 サッカー面に目を向けると混戦のグループGの中ではどの試合でも競争力を持った状態で戦うことができた故の3引き分けといったところだろうか。攻撃に目を向けると、個人的には右サイドの攻撃が印象的。中でもSBのレザイーアンはキックの精度とボックスへの飛び込みの両面での攻撃性能が優れており、個人的にはとても新しい発見だった。

 右サイドに限らず、攻撃のスイッチが入った時のポジトラの意識の高さは特筆すべきものがあり、攻撃に出ていった時にかける人数は多く、カウンターには非常に迫力がある場面を作ることができていた。

 かと思えばベルギー戦では5-4-1をベースに相手を塩漬けに成功。粘りを見せるような展開でも耐えられることも証明した。

 残念だったのはエジプト戦だろう。PK失敗をリカバリーするような同点ゴールまではよかったが、その後はすでに突破が決まっているエジプト相手に試合テンポが上がらないまま残り時間を過ごしてしまった感があった。コンディションがもう一声・・・というところで冒頭の話を思い出し、試合を見ながらどことなく苦々しい気持ちになったのをよく覚えている。

 他のチームのGSの仕上がりを見る限りはストレートでの突破の実力の可能性も十分にあったはず。それだけにあらゆることに振り回された今大会の事情は気の毒の一言だった。

Pick up player:ラミン・レザイーアン
 36歳とは思えないエネルギッシュな上下動とボックス突撃で右サイドの攻撃を牽引。3試合フル出場も果たすなど、過酷な環境の中でもGS完走を果たした。

ここまでの道のり

【G組4位】ニュージーランド

オセアニアの総大将の課題は?

 2010年の南アフリカ大会以来、16年ぶりの本大会出場となったニュージーランド。オセアニアの総大将ということでなんとか爪痕を残したい大会だったが、未勝利のままの敗退ということとなった。

 非常に良かったポイントとしてはきっちりと攻め筋が整備されていたことだろう。16年前の大会では3試合とも途中出場だったウッドは絶対的な柱として君臨。彼のポストプレーから左サイドのジャストとシンのユニットからスピーディーに攻撃に出ていく。

 攻撃のルートとしては結構一本槍だった気もするのだけども、グループGに対してはこの一本槍は十分な強度。開幕節のイラン戦で2つの得点を奪い取ったジャストなど、ウッドという絶対的なエースを攻撃の起点にも活用することで一気に加速させることに成功していた。撃ち合いになったイラン×ニュージーランドは個人的には第1節の中で一番面白い試合だったかもしれない。

 物足りなかった点は2つ。この1stセット以外に攻撃のアクセントをつけることができる組み合わせが見つけられなかったこと。そのため、試合終盤に相手を脅かす手段がなく、防戦一方になるケースも多かった。

 もう1つはその防戦一方になった先の話。受けに回った時に意外と空中戦での守備での耐久度が低そうだったこと。エジプト戦やベルギー戦など相手をボックス内であっさりとフリーにしてしまい、それがチャンスや失点の温床になってしまっていた。

 終盤の火力不足と受けに回った時の守備の整備不足。課題的には日本と少し似ているかもしれないけども、悩みの深さとしてはニュージーランドの方が少し上だったかもしれない。

Pick up player:クリス・ウッド
 クラブではどちらかといえばギブス=ホワイトのラストパスのレシーブ役だったけども、代表ではより起点寄りの仕事もこなす。やろうと思えばできてしまうのが頼もしい。

ここまでの道のり

【H組3位】ウルグアイ

エネルギーを勝利に向かわせられず

 内紛その2!チュニジアが協会であれば、こちらは選手と監督の問題とされている。明確に問題があったことを誰かが認めているわけではないけども、何かしらに問題があったことを推察するのであれば、ピッチを見れば十分という感じの今大会のウルグアイだったと言えるだろう。

 残念ながら攻守ともに規律と精度不足。規律の部分で最もバラバラな感じが見えたのは非保持のところだろう。4-4-2をベースにしつつ、そこからマンツーで出ていくというところのギアを入れていくのが基本に見えたが、1人がスイッチを入れたアクションに対して、他の人が全く呼応することがなかった。

 ホルダーを追う強度自体は十分なのだけども、プレスを受けたホルダーは一番近い選手へのパスをすれば逃すことができる。そういう意味では簡単な選択肢を選ぶことで外せるような精度のプレスだった。

 それでもボールを奪うことができるケースもある。次に直面するのはカウンターの精度不足。パスミスで単純にチャンスを潰してしまう場面もあるのだけども、そもそもの設計がサイドからスピードに乗って、2人のCBに挟まれるCFに祈るクロスを送るというのであれば、確実性が下がるのは仕方ないところ。往年の名FWたちのように、放っておけば簡単に得点をもぎ取ってくれるような選手がいないのが今のウルグアイなのだろう。

 やるべきことに集中できていないような試合運びも気になるのは否めない。カーボベルデ戦ではこのまま保持で時間を潰せば、カーボベルデには出ていくことができないままという展開もあり得そうだっただけに、つまらない後方の連携ミスが失点につながってしまったのはもったいなかった。

 スペイン戦でも相手が突破を決めていて、試合をコントロールすべきところまで細かな調整がうまくいってなかった分、勝利しての逆転突破の可能性は残されていた。しかしながら、そんな状態でも激しさが変な方向にいってしまい、ハードなファウルまがいのプレーを繰り返すばかり。ゴールに向かう原動力に激しさを変えることができなかった。

 目標を達成するための集団として洗練された状態に仕上げられなかったウルグアイ。大会中に復調の兆しが見えないまま、敗退を迎えることとなってしまった。

Pick up player:マキシミリアーノ・アラウホ
 クラブよりやや前での立ち位置の起用となったが、オフザボールを巧みに使いながら抜け出すきっかけ作り。混迷を極めるウルグアイの中で最も確実な前進手段となった。

ここまでの道のり

【H組4位】サウジアラビア

期待が徐々に萎んでいく展開に

 アジアの常連組となりつつあるサウジアラビアだが、なかなか厳しい内容での敗退となった。開幕戦でのウルグアイ相手の引き分けは、前回大会でのアルゼンチン戦を彷彿とさせる好スタート。南米キラーとして勢いが出てくるのかな?と思われたが、ウルグアイがバラバラのチームであっただけというネタバレもあり、その後もクオリティが足りないまま敗退に追い込まれてしまった感があった。

 端的にいってしまえば、どこで勝負をかけていきたいチームなのかがわからないまま終わってしまったなという感じ。従来であればショートパスから3バック変形で相手のプレスをいなすようなイメージもあったが、この試合では簡単なロングボールでポゼッションの機会を捨ててしまうケースも。

 かといって、別に前線がロングボールを収める力に長けているわけではないので、簡単に相手に跳ね返されてしまう。相手のプレスに対して、明確な解答案が出せているなと感じる場面が少なかった。

 より撤退守備が重要となるスペイン戦では守備があっさりと決壊。ヤマルへの対応法ははっきりとダブルチームで整理できていたのだけども、列を上げるアクションが間延びを呼び込んでしまい、インサイドにパスを通されると、そこからオヤルサバルに背後を取られてしまった。

 実質この1点でゲームはクローズ。ミス待ちのサウジアラビアを前にスペインはミスなく試合を進めながら得点を重ねての完勝。手も足も出ない試合だった。

 極め付けは最終節のカーボベルデ戦。勝てば突破というルートもあったのだけども、終盤の彼らを見れば「突破に必要なあと1点を取りにいく!」という気概もあまり見えず、逆にカーボベルデの方がゴールに迫るシーンも多かったくらいだ。

 「内紛したウルグアイ相手にギリ耐えた」以上のものを残すことができなかったサウジアラビア。アジア勢の一角として予選突破を果たすことはできなかった。

Pick up player:モハマド・カンノ
 CHとしてのイメージがあったけども、この大会ではもう1つ前で前線への飛び出しをやっていたのが印象的。キャラ変した?

ここまでの道のり

【I組4位】イラク

組み分けに吹き飛ばされる

 まず、第一に出てきた感想は「組み分けが厳しかった」というところだろうか。ノルウェーとフランスはこの原稿を書いている時点でベスト8に進出。セネガルも3位通過ながらも決勝トーナメントを含めて地力の高さを見せた大会だと言える。いわば、2強1中のグループに放り込まれてしまったのが今大会のイラクだったということができるだろう。

 基本的にはベースは4バック。さすがにSHにも下がるタスクを課している形ではあるが、5バックほどCBの枚数を極端に増やすようなことはしなかった。受けるだけではなく、攻めるタレントも起用しながら反撃のスタイルを目指す格好であった。保持に回れば長いボールへの逃げ道を見せつつ、左右のパスワークから脱出を見せるスタンス自体もこの大会のアンダードッグの戦い方としてみれば順当と言えるだろう。

 相対的に見れば、まだ戦うことができたのは初戦のノルウェー戦。引いて受ける時間は長かったが、ノルウェーがどのように攻め筋を構築するか思案しているかのような展開もあった。

 しかしながら、結局のところ思案したとてハーランドがいるのがノルウェー。ボックス内の駆け引きでCBがあっさりとかわされてしまい、失点を喫してしまう。

 もう1つもったいなかったのは自陣からのビルドアップミスもハーランドに咎められてしまったこと。保持局面とボックス内での踏ん張りの2つをハーランドに破壊されたことで、イラクは初戦で叩きのめされてしまう。

 フランス戦では結果的に吹き飛ばされてしまったが、フセインへのロングボールがフランス相手にも戦えそうだったのはこの先を見据えても好材料。だが、そのフセインも負傷で下がってしまい、この大会としてはこの時点で万事休す。

 最終戦となったセネガル戦も早々の退場劇で突破に必要な大量点は諦めなければいけなくなった。それでも食らいついていくことができたのはポジティブではあるが、最終的にミドルシュートのメッタ打ちでセネガル相手にも5失点を喰らうことに。

 3試合で12失点は文字通り吹き飛ばされてしまった感。もう少し均衡したグループで見たかったなというのが本音である。

Pick up player:アイメン・フセイン
 なかなか厳しいグループだったが、彼へのロングボールはそれなりに機能していた気がする。

ここまでの道のり

【J組4位】ヨルダン

1にも2にもセットプレーの耐久度

 初めてアジア予選の壁を越えて、本大会に駒を進めたヨルダン。しかしながら、1試合も勝てないままこの舞台を去るという寂しい結果に終わってしまった。

 要因の1つは撤退守備の機能不全だろう。引いて受けるというスタンスで一貫して5-4-1を組む格好は仕方ないとして、その自陣に組んだ守備網があまりにも脆かった。

 特に、指摘しなければいけないのはセットプレーの守備の弱さだろう。GKの飛び出しがまず怪しく、出てきても触ることができないケースがあるのがまずい。シンプルな空中戦の弱さで敗れたアルジェリア戦はまだ仕方ないなと思えるところもあったが、GKのポジショニングはやや自滅感がある。

 今、自分の記事を見直していて気づいたのだけども1試合目も2試合目もタイトルに「ヨルダンのセットプレーの弱さが致命傷に」的なことを入れている。全く同じやん。俺もちゃんとしろ。

 さらに3試合目では直接FKを2発叩き込まれる結果に。メッシもロ・チェルソもうまいのだけども、いかんせん壁の作り方が甘く、相手の鋭いシュートを呼び込むような構造になっていた。

 引いて受けるチームは出ていく武器を持てるかどうか?という話をよくするけども、大前提として引いて受ける強度はある程度必要。ヨルダンは明らかにW杯本大会で求められる水準の撤退守備の強度を満たすことができなかった。

 それでも3試合ともに得点を挙げることができたというのはポジティブな要素でもある。特にアルゼンチン戦で決めた得点は内外内と流れるようなパスワークで相手のDFを陥れる素晴らしいものだった。

 出ていくことができる武器があるだけに土台の整備は急務と言えるだろう。攻撃力は光るものがあることを示すことができた初のW杯だった。

Pick up player:アリ・オルワン
 本大会初ゴールをゲット。予選での最多得点者がヨルダンの歴史を切り拓いた。

ここまでの道のり

【K組4位】ウズベキスタン

アタッカーの可能性は感じられたが・・・

 ここにいたのかよ!カンナバーロ!イタリア代表でW杯優勝のカップを掲げたレジェンドとともにウズベキスタンは初めてのW杯に挑むこととなった。

 最も有名なフサノフに象徴されるようにウズベキスタンの選手は非常にスピードが豊かなのが特徴。ハムダモフ、ファイズラエフといったシャドーストライカーの機動力を生かしながらの攻撃はとても魅力的であり、コロンビア戦で奪ったゴールは感動的なものであった。勇気を持ったインサイドへの仕掛けや個人個人のキープ力を生かした粘りも含めて、見どころを作ることはできた。

 しかしながら、さすがに持久力も含めた馬力勝負になってくると分の悪さを露呈。早々に吹っ飛ばされモードだったポルトガル戦は仕方ないとしても、DRコンゴとコロンビアとの試合は戦えていた時間帯があっただけに、終盤にずるずると相手にペースを与えてしまったのが残念であった。

 立ち上がりは悪くはないなというところから試合の中盤に至る頃には一方的に押し込まれていく形に持ち込まれてしまったのがコロンビア戦。ナローなスペースでの崩しを許しながら、侵入を許すという流れはこの試合の後半からポルトガル戦まで引きずってしまった。

 DRコンゴ戦で悔やまれるのはやはりフサノフのPK献上だろう。おそらく、彼の力がなければこの舞台には立てていないだろうという前提はあるものの、やはり崩れてほしくないところから崩れてしまったなというのが本音。チームの柱のミスから同点に追いつかれてしまったことで士気が下がってしまったのは否めない。

 チャレンジングなパスワークとアジリティと粘りを見せたアタッカーは悪くはなかったが、90分を通した試合運びと試合終盤の凌ぎ方は覚えたいところ。フサノフを中心とした再チャレンジを期待したい。

Pick up player:アブドゥコディル・フサノフ
 チームの守備のスケールはCBが決めると思っている。そういう意味では新興国の中でフサノフがいるウズベキスタンは一歩有利。彼が現役のうちにノックアウトラウンド進出を目指したいところだろう。

ここまでの道のり

【L組4位】パナマ

CFの軸不在と相性に泣く

 52年ぶりに本大会出場を果たしたパナマ。しかしながら、グループステージで敗退を喫してしまうこととなった。

 総じて戦い方のスタンスは悪くなかったように思う。5-4-1でのローブロックを基調としつつ、保持で相手を揺さぶって時間を作るというのはこの大会で結果を出すことができたアンダードッグの要点を押さえていると言える。

 中でも3バックからの数的優位を生かして4-4-2のブロックからSHを誘引しての大きな展開から脱出はかなり円熟味と安定感があった。右サイドへの対角パスの先にはマルティネスとムリージョという縦関係から敵陣の奥に入り込む目処が立つのも魅力的。保持を自分たちのガードの手段としてだけでなく、具体的に前に進んでいく手段まで昇華することができていた。

 勿体なかったのはボックス内での脅威となる存在がいなかったことだろう。CFのスターターが日替わりになったことからも窺えるように、ここに柱がいないことは痛手。ウズベキスタンとかイランのフセインのようなボックスで相手と張れるCFがいれば話は違ったかなと思う。

 もう1つ誤算だったのはこのグループにおける相性の悪さ。ボックス内を整えられると厳しいことは明白だったので、なるべくスペースがある状況での攻撃を仕掛けていきたいところではあるのだけども、ガーナ、クロアチア、イングランドと同居した組は非常にそのあたりのリスク管理がしっかりとしている。

 いい意味でチャラさがないグループに入ってしまったのが運の尽き。アンダードッグとして目はあったが、CFの軸不在とグループの相性に泣いた大会だったと言えるだろう。結局、グループステージ唯一の無得点で大会を去ることになった。

Pick up player:ミゲル・ムリーリョ
 魅力的な右サイドの攻め上がりをなんとか得点に繋げたかった。マルティネスとの縦関係には光るものがあった。

ここまでの道のり

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