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【ベスト4】フランス

スペイン戦の敗因はどこに?
2026年のW杯におけるぐりぐりの大本命。ノックアウトラウンドまでの試合運びはその前評判にたがわぬもの。敗れた準決勝までの各ラウンドはまさに順風満帆な大会運びだったといえるだろう。
特筆すべきはその支配力だろう。一方的に相手を押し込みながら袋小路に追い込み、ブロックを殴り続ける。大外を取ることができるWGのクオリティと高い位置にサポートに入るSBのコンビネーションで連携からサイドアタックを敢行する。
アウトサイドだけではなく、インサイドの連携でも勝負できるのがフランスの強み。どのレーンでの勝負もできるというオリーズとデンベレが前を向いて、鋭い背後の前線の抜け出しで仕上げるという形も。大外でもインサイドでも1枚を剥がした相手のアクションから一気に相手を窮地に陥らせる。
CBのウパメカノ、サリバの対人性能の高さも折り紙付き。相手の陣地回復を完全にへし折る方策を取ることで、呼吸をさせる手段を奪い、相手の時間を消し飛ばすことでワンサイドのゲームに持ち込む。
それならば高さで固める方策はどうですか?と言わんばかりのパラグアイも一蹴。引いて受けるフェーズで耐えるというプランはこのチーム相手には難しいのだろうということを知らしめるような結果となった。
先制点さえ奪い取ってしまえば、多少引いて受けてカウンターで殴り続けるという必勝パターンが発動。サリバ、ウパメカノをはじめとする強力な中央ブロックを崩すトライをしつつ、背後をフランスのアタッカー陣に走られるという地獄のリスク管理を走らせないといけない。
事実上、リードさえ奪えればこの必勝パターンの発動からあっさりと押し切ることができた印象。ダークホースとして確実に力をつけていたモロッコをどの局面でも寄せ付けずにねじ伏せたパフォーマンスは文字通り見事だった。
ではなぜそんなチームがスペインに負けたのか?ということを考えたい。要は相手のビルドアップを高い位置から咎められなかったのが直接要因となる。
できなかった要因としてはまずはCBのサリバの負傷が挙げられるだろう。高い位置で相手を止める、あるいは引いて受けた時のコンビネーションについていくという意味でサリバの存在は大きい。3バックが普段着のラクロワ、3位決定戦を見る限り明らかに体が重そうだったコナテにはその役割は荷が重たかったように思える。
そのうえで高い位置で咎めること自体にチームとしてこだわりがなかったことも要因の1つ。持てないのであれば、受けてカウンターに振り切ればOKというどこでもやれる余裕がスペイン戦ではやや悪い方向に転がったように思えた。
それでも立ち上がり10分くらいの互角な時間帯のうちに殴り切れていれば試合の景色は全然違ったと思うし、フランスにはそうしたポテンシャルも十分にあった。それをかいくぐってフランスの脅威を抑制することに成功したスペインを賞賛する方が正しい。負けてはしまったけども、スペイン戦ですら勝ち筋を持ってくる力をフランスが持っていたことに疑いの余地はないだろう。
Pick up player:ミカエル・オリーズ
大外から試合を決める馬力だけでなく、インサイドでのやわらかいプレーの両面で力を発揮。これはたぶん、パレスでは知らない姿なので、バイエルンで身につけたのだろうなぁ。
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【第3位】イングランド

変身の余地のなさについての仮説
サウスゲート期から明らかに国際舞台での戦績は一段階引き上がっているイングランド。その実績を引っ提げながら優勝という大目標に向かっていきたいところだが、今回も上まで進みながら優勝を掴み取ることができなかった。
よかった部分も悪かった部分も基本的にはスカッド構築に集約されると思う。ベスト4に残った4つのチームの中でも、明らかに大会開幕時の選手のコンディションが悪かった。サカ、ライスといったアーセナルのレギュラー勢は故障も抱えており疲労も困憊。RSBの面々は大会前に離脱したリヴラメントに加えて、ジェームズも限られた試合でしか起用できなかった。
そういう状況の中で踏ん張ることができたのはさすがの層といえるだろう。サイドの選手は日替わりになりながらも、何とか耐えながら進むことができていた。
逆にセンターラインの選手たちはフル稼働で軸として君臨。故障持ちのライスも含めて、アンダーソン、ベリンガム、グエイ、コンサ、ケインは完走に成功。クオリティを大きく落とすことなく、過酷な日程に食らいついてみせた。
どの選手も素晴らしいパフォーマンスではあったが、その中でも個人的にはベリンガムとケインは圧巻。ベリンガムは大会前にはやや合わないのか?と思うような代表戦もなくはなかったが、タフな環境の中でのキャリー性能の高さとゴール前での決定的な仕事の質の高さは別格。スターが順当に活躍するW杯の中で、自らもその一員であることを証明してみせた。
ただ、最終的にはスカッドの運用に泣いた感もある。アルゼンチン戦での逃げ切り失敗は5バックでの人選が適切だったかどうか?ということになるだろう。ボックス内での枚数は足りているのに、ストーンズの背後をひたすら通され続けたのをケアできなかったのは辛いところであり、ああいう殴られ方をするのであれば決壊は当然。サイドでダブルチームの守備に走らされたオライリーと共に、シティ勢の特性は持て余してしまった感じがある。
ただ、別の見方もできる。メキシコ戦での成功体験とアルゼンチン戦の戦況から5バックにシフトするのは妥当。だが、こうした押し込まれる局面に専念しなければいけない状況を想定していたかは怪しい。想定外の状況に思わぬ長い時間に閉じ込められてしまったのではないか?という仮説を唱えたい。それであればオライリーやストーンズのミスマッチ感も説明がつく。
そこに陥った要因は初めに戻るのだが、明らかに万全ではないスカッドということになるだろう。より健康な選手が多く揃っているスカッドならまたやりようは変わってくるはず。ただし、みんな疲れ切っているというのはプレミアのCL勢であれば、再現性がある事象の可能性は高い。
せっかくトゥヘルがいるのに彼らしい変身を見せられなかったのは残念ではある。しかしながら、変身の余地のなさがプレミアのハードなシーズンに裏打ちされる理由なのだとしたら、この大会の敗因はより根深いものになる可能性もある。マグワイアを呼んでおけば!という対症療法的な話が出てしまう時点で、イングランドの抱える問題は根本的な解決を見ていないのではないだろうか。
Pick up player:ジェド・スペンス
カウンターを単独で止めることができるスピードに、サイドで2人を剥がすことができるドリブル。低調さが目立つプレミア勢の中でシーズン中以上のクオリティを発揮してみせた。
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【準優勝】アルゼンチン

変容する「中心のメッシ」
歩いて守備をしないエースを抱えながら、彼を慕う10人の勇者たちで盤面を制圧するという4年前と同じスタイルだったアルゼンチン。そのスタイルは4年前よりも明らかに洗練された状態でこの大舞台で再び見られることとなった。
フォーメーションは大きく分けて2つ。4-4-2もしくは4-1-4-1をオーソドックスに遂行し、SHにアルバレスやゴンサレスなどアタッカー気質の強い選手を置くのが1つ。もう1つは4-4-2っぽい並びながらSHにCHのカラーの選手を置き、サイドに圧縮しながら中盤がダイヤモンド気味の形からサイドに追い込む勝負の守備をかけていく形。
定点気味な前者の守備パターンでもCHの広い行動範囲と献身性に助けてもらう仕組み自体は同じ。アルバレスがプレス役になればその背後をCHがカバーする形で対応する。彼ら基準でいえば、前回大会よりも受けに一辺倒にならずに非保持から仕掛ける頻度は増えていたので、マック=アリスター、エンソ、デ・パウルにパレデスが加わるCH陣はメッシを抱えながらとにかく走り切った。
そういう意味で非保持から勝負を仕掛けなくてはいけなかったスペイン戦は相性としては悪かったように思える。前に出ていくことを許容するようにひたすら効いた潰しを見せていたリサンドロ・マルティネスの負傷で事実上、決着はついてしまったのかなと思った。
4年前よりもシャープになっていたという観点でいえばもう1つ触れておかなければいけないのはメッシその人だろう。ライン間で浮かせれば依然として世界一であることの証明はとっととグループステージで完了。ノックアウトラウンドではサイドで大暴れ。エジプト戦では大外ドリブルゴリラとしてサイドの破壊者として君臨し、イングランド戦では左右の足から抜き切らないクロスでイングランドの守備網を切り裂くことに成功した。
神通力っぽいニュアンスでしゃべられることはあるけども、基本的にはメッシをどう生かすか?に関しては理詰めだったのがアルゼンチンの面白いところ。メッシから作っていくという大前提は同じだけども、試合ごとにメッシの役割は微妙に変えており、「メッシ中心のチーム作り」で出力されるものが相手によって変わることによって深みは出た。
ラウタロやアルバレスといったアタッカー陣もメッシを支えながらという難しい役割を担いながら、結果を出すことも両立している。メッシ後のアルゼンチンの舵取りは明らかに難しいけども、その次のアタッカー陣も大粒であることは確かだ。
ただし、やはり負けた後の振る舞いはいくら何でも目に余るものがある。勝った時に浮かれて煽る癖があるのに目をつぶるとするならば、いくら何でももう少し他者からの煽りは受容してしかるべきだろう。煽られたから手を挙げたという理屈が通るのであれば、過去の自分たちは何回でもボコボコにされても文句を言えない振る舞いをしていたはずだ。数人の選手の発言や行動には残念な部分があったのは明らかであり、そこは非常にもったいなかった。
Pick up player:リオネル・メッシ
私は3月のライオンという将棋漫画が好きなんだけども、小さい子供に将棋を説明するシーンで王将のことを「いざとなればかなりファイター」と紹介するシーンがあり、そのことを今大会のメッシを見ながら思い出していた。
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【優勝】スペイン

戦う土俵を譲らない王者
おめでとう!ペドリ酷使おじさんとしか思っていなかったデ・ラ・フエンテで見事に国際シーンのタイトルを総なめ。ノックアウトラウンドでも徐々に凄みが増していく様子はまさしく優勝チームにふさわしい振る舞いだった。
崩しきれないカーボベルデ戦ではストライカー不在の懸念を露呈し、ピッチ内外でバタバタしていた相手に付き合うように試合のテンポを握れなかったウルグアイ戦では試合をコントロールするというスペイン本来の持ち味に疑念を感じるような内容だった。
しかしながら、ノックアウトラウンドに入って状況は右肩上がり。オーソドックスな4-4-2を標榜するオーストリアをウォーミングアップ代わりに一捻りすると、この段階からゲームコントロールの質の高さは安定。どんな相手でも保持主体でのフィールドで戦う状況をホールドすることができるように。フランスの強みが「どの体勢からでも殴れる火力」なのだとすれば、スペインの強みは「自分たちの土俵をキープする土台作り」にあるように思う。
従来のスペインはマドリー・バルサの融合で簡単にティキタカといわれるパスワークを行っていたけども、今のチームは所属もルーツもバラバラな11人で昔と変わらぬ優位性を保持面で取れているという優位がある。ナショナルチームのクラブ化という手法はイタリアやドイツもそれぞれある程度投影できたように思えるが、代表選手の集約が難しくなった中でもクラブで同じ選手が揃っているかのような保持局面での安定感を見せられていることがスペインの強みといえるだろう。
アトレティコだろうとソシエダだろうとレッドブルだろうとサウジアラビアリーグだろうと同じ文脈でプレーできる。異なるチームの面々がさっと集まってこれができるというのはやはりスペインが一番なのだろうなという感じ。今回はその部分の良さが前面に出た格好だ。
バエナ、オルモ、オヤルサバルといったプレスバックも怠らないアタッカーの登場により、ミドルブロックの守備も安定。敵陣で押し込んだ攻撃のバリエーションも両WGの火力で押し切るEUROパターンと、WGまでMF化させてCFのタスクを数人で分割する新パターンを組み合わせながら問題を解決。1つ1つの火力自体はバンバンチャンスにつながるほど鋭くはなかったけども、とにかくどの試合でもスペインの方が攻める時間が長かったことで、試行回数の供給は安定。絶対的なストライカー不足に対して腰を据えて取り組むことができた。
代表チームが憧れる代表チーム!という勝ち方を体現したスペイン。改めておめでとうございました。
Pick up player:エメリック・ラポルト
エリソンぶち抜かれおじさんがレギュラーCBというのは大丈夫なのか?と思っていたのだけども、素晴らしい危機察知能力でクバルシと共に最終ラインを統率。おそらく低いであろうシーズン中の負荷が好調につながっているのだとしたら、そこも今大会を象徴する存在だといえるだろう。
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